義兄と結婚生活を始めます
止まっていた手を動かしたかと思うと、和真はカップを置いて、頬杖をついて俯いた。
その赤くなった顔を隠すように、しばらくは下を向いていた。


部屋に戻ったあおいは、嬉しい気持ちでいっぱいで、上機嫌で椅子に座ると、教科書とノートを取り出す。
スマホの通知に気付くと、一度だけ返信をして画面を暗くし、勉強を始めた。





















…ー
コンコン


「!?」


ドアのノック音で体が跳ねるあおいは、オレンジ色の外に驚いて、急いでドアを開けに行った。


「ごめんなさい!時間に気付いてなくて…!」

「いえ。集中していたならすみません」

「お夕飯の準備しますね。何か食べたい物はありますか?」


ドアを開けたまま、上着と鞄を取るあおいを見ながら考える和真。


「……テイクアウトですか?」

「え?今から買い物に行って作りますよ?」

「…僕も行っていいですか?」


ちょうど上着を着て鞄も持って、準備万端となったあおいは驚いた。
和真はすかさずスマホを取り出し、送迎してもらうため、三森に通話しようとしていた。


「歩いて行ける距離なので!三森さんを呼ばなくても大丈夫です!」

「……」

「もう夕方ですけど…っ、お、お散歩がてら歩きましょう…?」


思わず和真の腕を掴んで止めると、おずおずと離していく。


「わかりました」


それから二人は玄関から出ると、並んで歩いた。
相変わらず歩幅の広い和真に、着いていくのがやっとのあおい。

エレベーターを降りて外に出れば、あおいの歩幅に合わせるように、和真はゆっくり歩いてくれた。
しかし、買い物に誘ったものの、話題も出せずにいたあおいは思い出す。


「あ!和真さん、食べたい物。今夜は何がいいですか?」

「そうですね……改めて聞かれると困りますね」

「え!?」

「すでに用意されていたので」


お金持ちの生活差を感じつつ、あおいも何にしようかと考えた。


(お魚の煮付け作ってたから、私はそれを食べるとして…和真さんは洋風…パスタかなぁ?)


「…肉じゃがが食べたい、かもしれません」

「……かも…?」

「あおいさんの料理はどれも美味しいので迷いますが、前に作ってくれた肉じゃがのじゃがいもがもう一度食べたいと思いました」

「あ、ありがとうございます…じゃあ、肉じゃがとサラダと〜アスパラ巻きにしましょうか」


褒め言葉までもらえると思っていなかったため、照れながらもリクエストしてくれたのが嬉しいあおい。
献立が決まった頃には近くのスーパーに到着した。

カゴを持つあおいが先頭で入っていく。

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