義兄と結婚生活を始めます
「あおいさん、学園で噂の的になってますよ。気をつけて見ておきますね!」

「…そうですか。何かあればあおいさんの方から話してくれるので、そちらの方が安心です」


無表情な顔と笑顔が静かに火花を散らすなか、あおいは目当ての商品を手に取り、和真の腕を掴む。


「和真さん、そろそろ会計に行きますよ。祐希くん、また明日学校でね!」

「おう!明日な!」


長話でボロが出るのを防ぐため、そそくさと立ち去っていくあおいに、笑顔のままヒラヒラと手を振る祐希。
あおいたちの姿が見えなくなると、笑顔は消えていた。



「ここでお会計して、あっちで袋に入れます」

「あ、重い物を下にして、パックとか軽い物は上にしてください」

「これはこの袋に入れておくと、こぼれても安心です」


率先してテキパキと動くあおいに、和真はほとんど何もできずにいた。
代わりに、スーパーを出る際は、自分の役目として荷物をしっかりと持つ。

手持ち無沙汰となったあおいは、なんだか落ち着かない気持ちで、隣を歩いた。
外はもう薄暗く、街灯が灯り始めている。


「先ほどの…」

「祐希くんですか?」

「草野議員のご子息でしたか。…将来が楽しみですね」

「そうですよね!祐希くん、成績も上位の方だって聞いてて…私も頑張ります!た、小鳥遊家として…!まずは前期の試験から!」


意気込むあおいの姿を見ると、肩でため息をしてエレベーターを待った。
すると、あおいがひょこっと、下から和真を見上げる。


「初めてのスーパー、どうでしたか?」

「……未知数の場所で、たくさんの商品が、とんでもない価格で取引されていることに驚きました」


ワクワクとした表情から目線を逸らし、体感した感想を伝える和真。
エレベーターへ一緒に乗り込んだ。


「ですが、あおいさんと一緒に歩いていくのも、いいですね」

「私も楽しかったです…ふふ」


和真の行動を思い出し笑いしながら、玄関ドアを解錠した。
先に和真に入ってもらい、荷物をキッチンへ運んでもらう。

手を洗ったあおいは、エプロンをつけて調理を始めた。
和真も手を洗った後、自分の部屋からタブレット端末を持ってきて、ソファーに座って操作し始めた。

少しすると、あおいがコーヒーを注いだマグカップをテーブルに置く。


「…ありがとうございます」


あおいは微笑むとキッチンに戻り、和真は熱いコーヒーを飲んだ。


(そういえば、最近よくタブレット見てるな~…大人になると大変になるんだ…)


和真の様子を見ながら調理を進めていく内に、コーヒーの香りは薄れ、出汁や醬油などの和食を感じさせる香りが部屋に漂う。
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