義兄と結婚生活を始めます
…ー

明望学園では、午後の授業も終わり、ホームルームが始まっていた。
一日中、慣れない授業が衝撃で、なかなか内容が入ってこなかったあおい。

担任の連絡事項を聞きながら、ずっとノートにメモ書きをしていた。


「あおいさん、もう終わりましてよ?」

「え!?」

「ずっと書いてたの?ノート?」

「あはは…勉強苦手だから、頑張らないといけなくて…」


苦笑いしていると、ポケットに入れていたスマホのバイブに気づく。
ハッとして、慌てて帰り支度を始めた。


「ごめんね!用事で、先に帰るね!また明日!」

「え、えぇ…」


荷物を持つと、パタパタと教室を後にした。


「頑張り屋さんですわね。ね、咲」

「…私も頑張ってる方だけどー?」

「はいはい。ごめんなさいね」


クスクス笑う未来は、咲と一緒に教室を出た。


あおいが自習室へ向かうと、入り口前で祐希が女子と談笑しているのが遠目で見えた。
なんとなく話しかけにくい雰囲気にも感じて、速足が徐々に遅くなる。


「あおい!」


笑顔で手を振る祐希は、話していた女子生徒に挨拶してあおいの方へ歩いて行った。
止まりかけたあおいの足は前に進む。


「話してる途中でごめんね…」

「え?あぁ、いいって。来るまでって言ってあったし」


二人は揃って自習室へ入った。
空いている席に隣同士で座ると、あおいはすぐに午前中に受けた授業の資料とノートを取り出した。


「やっぱ、数学弱いな~」

「祐希くんが教えてくれた公式は覚えたから、いくつかは解けたんだけど…今日、新たな公式が出てきて…なんでそうなるの?っていう疑問がいっぱいで…」

「なるほどな~………これは教えがいがある、かな」


あおいのノートを手に取って見ると、ふむふむと考えてから笑う。


「あ、でもね!前よりもうまくまとめられるようになったよ!本当にありがとう」

「そ、そのくらい…普通だろ…」


少し顔を赤くする祐希を見て、あおいはにこにこした。
ふと気づいて、祐希の顔を覗き込む。


「……わ、照れてる…?」

「違う。今日暑いだろ。ほら、始めるぞ~」


まるで先生のように自習開始の合図を言うと、さっそく資料を使ってあおいへ教えて始めた。
何度も同じ場所で躓いても、よりわかりやすい説明をして、あおいがしっかりと理解できるまで教える祐希。


「…あ、わかった。……こう?」

「お、そうそう。うん、正解。ここも正解」

「やった!今日習ったばかりだけど、初日で理解できたー!」

「そこ、少し静かになさい!」


在中していた教職員に初めて気づくと、あおいは慌てて口をふさぐ。
祐希を見れば、机に突っ伏して笑いを堪えている。

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