義兄と結婚生活を始めます
和真の方は、帰りの時間を確認すると、タスク処理や書類の最終確認をしていた。
隣から由梨子がそっと話しかける。
「和真、明日の分の資料と、先方への契約書の確認をお願い」
「ありがとうございます。今日は以上ですので、もう上がっていただいていいですよ」
「……あの、今日のお詫びも兼ねて、涼介くんも一緒にみんなで食事に行かない?二人きりじゃないし、ちょっとした同窓会的なことがあってもいいんじゃないかなって…」
キーボードを叩いていた手を止めた和真は、由梨子から資料を受け取った。
「今日は、涼介に手伝ってもらうことがあるので無理です。歓迎会なら部署の皆さんが日程合わせをしていたので、そちらに出て親睦を深めた方がいいでしょう」
「…ねぇ、昼は本当にごめんなさい、明日から気をつけるわ…」
「そうしてください。お疲れさまでした」
自分を見ることなく、淡々と挨拶を済ませる様子に、由梨子はようやく諦めて鞄を持って出て行った。
再びキーボード操作を始めると、入れ替わるように涼介がやって来る。
「ありゃ?珍しいな。もう退社時間なるぞ?」
「…少し調べ物があったので。ケホ…」
「お前、昼からなんか変だぞ?」
涼介の指摘に、ふと自分の体調の違和感を考えてみるが、少しの咳とくしゃみが出る程度。
気にするほどではないと判断した。
「迷惑ならマスクしますが」
「いや、お前が平気ならいいけど。由梨子ちゃんは帰った感じ?」
「はい。涼介と一緒に夕食にと誘われましたが、断りました」
「…あ、そう…」
カタカタと打音を鳴らす和真の隣の席、由梨子のデスクの椅子に着く涼介。
頬杖をつくと、和真をまじまじと見た。
「なぁ、あおいちゃんと連絡先交換しててもよくない、俺?」
「何でですか」
「だって、“小鳥遊”に言えない相談事とか聞けるじゃん。俺経由で伝えられることもあるじゃん」
キーボードを叩く手が止まる。
横目でじろりと涼介を睨んだ。
「涼介…」
「じょーだん!冗談だって。にしても、そこまでムキになるなんて…義妹ちゃん大切なのね~」
「………そう…ですね」
顔を逸らすと、鞄を取り上げてタブレットを取り出した。
涼介も近づいて画面を一緒にのぞき込む。
「結構、調べてんのね」
「まぁ…海崎すみれさんとは会ったことはありませんが、仕事関係から交友関係までが幅広い。社長が選ぶ理由に納得がいくといいますか…」
「容姿端麗、秀才、おまけに人柄も良い…となると、小鳥遊が欲しがるわけだ」
すみれの経歴が載った部分は、目を閉じて見ないようにする涼介を置いて、和真はタブレット操作を続けた。
隣から由梨子がそっと話しかける。
「和真、明日の分の資料と、先方への契約書の確認をお願い」
「ありがとうございます。今日は以上ですので、もう上がっていただいていいですよ」
「……あの、今日のお詫びも兼ねて、涼介くんも一緒にみんなで食事に行かない?二人きりじゃないし、ちょっとした同窓会的なことがあってもいいんじゃないかなって…」
キーボードを叩いていた手を止めた和真は、由梨子から資料を受け取った。
「今日は、涼介に手伝ってもらうことがあるので無理です。歓迎会なら部署の皆さんが日程合わせをしていたので、そちらに出て親睦を深めた方がいいでしょう」
「…ねぇ、昼は本当にごめんなさい、明日から気をつけるわ…」
「そうしてください。お疲れさまでした」
自分を見ることなく、淡々と挨拶を済ませる様子に、由梨子はようやく諦めて鞄を持って出て行った。
再びキーボード操作を始めると、入れ替わるように涼介がやって来る。
「ありゃ?珍しいな。もう退社時間なるぞ?」
「…少し調べ物があったので。ケホ…」
「お前、昼からなんか変だぞ?」
涼介の指摘に、ふと自分の体調の違和感を考えてみるが、少しの咳とくしゃみが出る程度。
気にするほどではないと判断した。
「迷惑ならマスクしますが」
「いや、お前が平気ならいいけど。由梨子ちゃんは帰った感じ?」
「はい。涼介と一緒に夕食にと誘われましたが、断りました」
「…あ、そう…」
カタカタと打音を鳴らす和真の隣の席、由梨子のデスクの椅子に着く涼介。
頬杖をつくと、和真をまじまじと見た。
「なぁ、あおいちゃんと連絡先交換しててもよくない、俺?」
「何でですか」
「だって、“小鳥遊”に言えない相談事とか聞けるじゃん。俺経由で伝えられることもあるじゃん」
キーボードを叩く手が止まる。
横目でじろりと涼介を睨んだ。
「涼介…」
「じょーだん!冗談だって。にしても、そこまでムキになるなんて…義妹ちゃん大切なのね~」
「………そう…ですね」
顔を逸らすと、鞄を取り上げてタブレットを取り出した。
涼介も近づいて画面を一緒にのぞき込む。
「結構、調べてんのね」
「まぁ…海崎すみれさんとは会ったことはありませんが、仕事関係から交友関係までが幅広い。社長が選ぶ理由に納得がいくといいますか…」
「容姿端麗、秀才、おまけに人柄も良い…となると、小鳥遊が欲しがるわけだ」
すみれの経歴が載った部分は、目を閉じて見ないようにする涼介を置いて、和真はタブレット操作を続けた。