義兄と結婚生活を始めます

「幅が広すぎますが…勤務先関係に絞っているので、もう少しかかりますね」

「……それ、俺が聞いて大丈夫なやつ?」

「…ええ、構いませんよ。貴重な情報の一部を教えたんですから、間違ってもあおいさんと連絡先交換や僕を介さない直接的な接触はやめてください」

「はい…マジでごめんなさい」


タブレットを鞄に入れると、帰宅準備を始めた。
涼介も立ち上がり、すでに荷物を持っていたようで、和真を待つ間に自販機コーナーへと向かう。

和真はスマホを取り出すと、三森に連絡し迎えの車を頼んだ。
そして、次にあおいへと連絡をする。

しばらくコール音を聞くも、なかなか出てもらえない。
いつもであれば数回のコール音の後に、必ず出てもらえていたはずが不思議に思い、再度かけ直した。


「—…ごめんなさい!スマホ、部屋に置いていて…もう帰ってきますか?」

「はい。これから三森さんの車に乗って会社を出ます」

「わかりました。気を付けて帰ってきてくださいね」

「…はい」


通話を切り終えると、どこか柔らかな表情を見せる和真に、戻ってきた涼介が少し驚く。
缶コーヒーを飲みながら、自分のことのように笑うと、部署を出る和真の後に続いた。











ガチャ

玄関のドアが開けば、パタパタと走ってくる音が聞こえてくる。
靴を脱ぐ頃には、あおいが立って待っていた。


「おかえりなさい」

「ただいま」


あおいの頭をポンと撫でると、そのまま自室へ行ってしまった和真。
いまだに慣れない行為に、少しの照れを見せるあおいは、ふと気づく。


(そうだ。祐希くんに事情を話したこと、言わな…きゃ……)


祐希の名前を出すだけで、自習室でのことを思い出してしまい、真っ赤になった。
パンパンと頬を軽く叩くと、和真の食事を用意するため、キッチンへ向かう。

テーブルに料理を並べ、いつでも食べられるようにしていても、和真はなかなか部屋から出てこない。


(…来ない……。どうしたんだろう…?)


とりあえず自分の席に座って待つが、ついつい振り向いては、リビングの出入り口を見てしまう。
悩みながらも、立ち上がって、和真の部屋へゆっくり歩き出した。

部屋のドアの前で、ノックしようか迷うあおい。


(…干渉しすぎ…?でも、いつも着替えてすぐに来るのに…。仕事とか…?だったら邪魔しちゃうかな…)


ドアを叩く手を、上げては下ろしてを繰り返していたが、意を決してようやく手を振り下ろした。


ポスッ


柔らかい布地の感触がする。
顔を上げると、ドアを開けて出てきた和真が目の前にいた。
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