義兄と結婚生活を始めます
21話
数日後の朝、トーストやサラダをを盛った皿を二枚、テーブルへ並べるあおい。
キッチンへ戻ると、ゆっくりとコーヒーを淹れていく。
すると、ネクタイを結びながら、和真がリビングに入ってきた。
「おはようございます」
「おはようございます!ちょうど、コーヒーが入りましたよ」
席に着いた和真の前に、コーヒーを注いだカップを置いた。
あおいも向かい合わせの席に着くと、一緒に朝食を食べ始める。
「熱が下がって良かったです。のどの痛みは…」
「咳も含めて、もうほとんどありません」
和真の返事を聞いて、ホッとすると、笑みをこぼした。
コーヒーを飲んでトーストも食べる和真は、いつも通りだ。
不意に目が合うと、優しい目を向けてくれる。
あおいは恥ずかしさから、視線を少し逸らしてしまった。
和真はカップを持ち、最後の一口を飲み干すと食器を下げにキッチンへ。
あおいは時計を確認すると、出る時間に気づき、慌てて食べ終える。
二人揃って玄関へ向かうと、あおいから順番に靴を履いて待った。
「今日はいつも通りの時間に帰るので、夕飯をお願いします」
「わかりました。お肉にしますか?それとも、お魚にしましょうか?」
「シチューが食べたいです」
ふと、熱を出した際のうわ言で言っていたことを思い出し、ふふっと笑うあおいは承諾する。
嬉しそうな表情のあおいを見ながら、和真は一緒に家を出た。
…ー
自社へ出社した和真を見た部下や同僚たちは、ワッと集まって安否を確認してきた。
「小鳥遊さん!お体は!?」
「大丈夫ですか、小鳥遊さん!?」
「まだ休まれては…!?」
朝の穏やかな気持ちはなくなり、肩でため息をつくと、群衆を分けて、デスクに向かった。
「私に問題はありません。ご迷惑をおかけしました。業務での問題や確認書類がありましたら、早急に報告と提出をしてください」
「は、はい!!」
デスクに着くとさっそくデスクトップの電源を入れる。
「よっ。全快?」
「…ありがとうございました」
「あんまり無茶するなよ?あおいちゃん、電話出たとき、大慌てだったよ?」
「……」
涼介の言葉を聞いている間、起動音と合わせて画面が表示されると、カタカタとキーボードを叩く和真。
その横にガサっと音を立てて、紙袋が置かれた。
手を止めた和真は、紙袋を見た後、涼介を見上げる。
「由梨子ちゃんから預かった、見舞い品」
「返品してください」
「ただの菓子折りじゃん。あおいちゃんが好きな菓子あるかもじゃん?」
「…はぁ…わかりました。それと、あまり妻を気安く呼ばないでください」
紙袋を受け取った和真はデスク下の足元に置いた。
それよりも、和真の発言に、口を開けて固まる涼介。