義兄と結婚生活を始めます
真剣な顔で問題を解くあおいを見れば、視線を逸らして、表情を隠すように口元を押さえて頬杖をつく。
しばらくして、ペンを置いたあおいは解いた問題を見直した。


「……よし!お願いします!」

「おう」


祐希は赤ペンを持って丸付けを始めようとしたが、手を止める。
不思議になったあおいは、祐希を見るとしっかりと目が合った。


「…あんまり意識されると、ちょっと期待するんだけど…」

「…!!」


急な言葉に真っ赤になるあおい。
祐希も照れくさそうな表情を見せながら、ノートへ視線を落とした。

黙々と丸付けをし終えると、あおいにノートを返した。


「全問正解」

「あ…ありがとう…」


ニカッといつものように笑う祐希が、空気を変えてくれたようで、あおいにも少し笑顔が戻る。


「あおいはやっぱ、応用が弱いよなぁ…ここのxは…ー」


祐希の解説を一生懸命聞きつつ、途中でメモを書いた。


「…あ!じゃあ、このxを…ここに持ってくる!?」

「正解」

「やった!」


自分にとって難問だった問題が解けて、喜ぶあおいを見て祐希も嬉しそうに笑った。
そして時計を見ると、もう下校時間も迫っていることに気付く。


「よし。じゃあ、今日はここまでにしよう。前期試験まであと少しだから、頑張ろうな」

「うん。でも…祐希くんの勉強の邪魔になってないかな…?」

「全然。授業聞いてるだけで別にわかるし」

「わ~……一回は言ってみたい…」


改めて天才肌なのだろうと感じさせる天然な発言に、あおいは羨ましさを覚えた。
二人は帰宅準備を終えると、自習室を後にした。


「そういえば、しばらく自習室来れなかったのってなんで?」

「あ……えっと、和真さんが体調悪そうで…熱も出しちゃって…」

「ふ~ん……」


少しムッとした表情になる祐希の返事は、素っ気ない。


「あ…ご、ごめんね!私の都合で振り回しちゃって…!」

「…そうじゃない…」

「え?」

「俺も熱出したら、あおいに看病してもらえるのかなぁ!小鳥遊さんずるー」


やけ気味な発言をしながら、一歩先を歩き出す祐希はまるで顔を見られたくないかのようだ。
あおいは、顔を赤くしながら、祐希の後ろを黙って歩く。


(ど、どうしよう…こういうときは何て返したら…)


うーんと悩むあおいは、突然立ち止まった祐希にぶつかった。


「ん゛!?」

「……あおい」


鼻を押さえるあおいは、名前を呼ぶ祐希を見上げる。


「俺も熱出したら、看病してくれる?」


顔だけ振り返る祐希はすねた表情で、口をとがらせながら聞いてきた。
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