義兄と結婚生活を始めます
和真の言葉に恥ずかしくなりながら、やんわりと断る。
それもなんだか楽しくて、声を出して笑ってしまった。


「ところで、草野くんには、どこまで事情を話しているんですか?」

「あ…ほぼ全部です。でも!祐希くん、誰にも言っていませんし、言うような人じゃないです!」

「…あおいさんが言うなら信じますよ。僕の目から見ても彼はそういう人でしょう」


誤解されなかったことでホッとするあおいは、ココアを飲んだ。
しかし、告白されていることも同時に思い出して顔が赤くなった。


「どうしました?」

「なんっ、なんでもないです…!」


不思議そうに見ていた和真だが、特に言及はせずにココアを飲んだ。
二人は、しばらく談笑したあと、夜更けになる前に自室へと戻る。


「おやすみなさい、あおいさん」

「はい!おやすみなさい、和真さん」


部屋へ入ったあおいは、ドアの前で息を吐いた。


「ふー………」


そして、ポケットに入れていた由梨子からのメッセージカードを見て、改めて由梨子の連絡先を確認した。
ベッドに腰かけると、充電していたスマホをとり、記載された番号に連絡する。

通話ボタンを押す前に深呼吸して、スマホを耳に宛てた。
コール音が聞こえてくるたびに、ドキドキと緊張する鼓動が大きくなる。

固唾をのんだ頃、コール音が止んだ。


「はい?」

「あ…!あの!由梨子さん、私、あおい…です…!」

「良かった。涼介くんからなら受け取ってくれるって思ってたから。連絡待ってたわ、あおいさん」


ゆったりと話す由梨子の声は、どこか余裕さを感じた。
あおいの緊張感は高まり、スマホを持つ手に力が入る。


「あの…会う日を決めるために連絡しました」

「えぇ。そのつもりで渡したもの。そうね、次の日曜日はどうかしら?」

「はい。大丈夫です…」

「姉妹揃って来られることを楽しみにしているわ。それじゃあね」


あおいの別れの挨拶も聞かずに通話を切った由梨子。
プツンと切れた音が残ったスマホを見るあおいは、そのままMINEのメッセージ画面を開いた。

すみれのトーク画面を開いても、既読も付かなければ返事もない。
試しに、一度だけかけてみた。

しかし、コール音はいつまでも続くだけで、すみれが出ることはなかった。
諦めて通話を切ると、大きなため息をついて、ベッドに仰向けになる。


「……大丈夫、ですよ…」


自分に言い聞かせるように、和真の言葉を真似て呟いた。
夜更けと共に、あおいの中で不安が大きくなる。

明かりを消して、眠りについた。

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