義兄と結婚生活を始めます
22話
翌朝、微かに聞こえるアラーム音に加えて、小突くような音が聞こえてくる。
あおいは薄っすらと目を開け始めた。


「あおいさん、そろそろ起きないと、遅刻しますよ」

「………へ…!?」


ノック音と一緒に、和真の声も聞こえたことで、勢いよく起き上がった。
慌ててベッドから降りると、ドアを開ける。


「ごご、ごめんなさい!私っ、寝っ、用意!」

「おはようございます。寝ぐせ、ついてますよ。待ちますので」

「はい!!」


あたふたしながら制服に着替えていくと、和真に指摘された寝ぐせの部分を手櫛で何度か直した。
鏡で左右の姿を確認すると、鞄を持って和真が待つ玄関に向かった。


「お、お待たせしました!」

「はい。大丈夫です。こちら、車で食べてください」


差し出されたのは卵サンド。
言われるがまま受け取るあおいは、ハッとした。


「わざわざ!?」

「朝食はしっかり食べましょう」

「…はい…」


それだけを言うと、靴を履いて玄関のノブに手をかけた。
あおいも靴を履いて、一緒に家を出る。


三森の車に乗ると、あおいはさっそく卵サンドを食べ始めた。


「美味しい…!和真さんって料理のお店、出せるんじゃないですか?」

「褒めても何も出ませんよ」


隣でタブレット操作をしている和真は、フッと笑うと、あおいの頭をポンと撫でる。
少しムズムズする感覚になりながら、あおいは卵サンドを頬張った。


(……?)


この感覚がよくわからなかったが、どこか嬉しく感じてきたあおい。
あおいが食べ終わって少し走ると、学園が見えてきた。


「三森さん、ありがとうございます。いってきます!」

「……いって、らっしゃい…」

「はい、いってらっしゃいませ」


二人に挨拶をして、笑顔で降りていくあおいに、ぎこちなく返した和真。
あおいが降りた後、小さく笑う三森の声が聞こえた。

和真はゴホンと、咳をして無言の注意をする。


「ほほ、これは失礼いたしました。慣れない挨拶でございますか」

「……その内、慣れます」


気恥ずかしそうに答えると、タブレットに視線を落とし、再び操作を続けた。











…―
学園の教室に入り、席に着いたあおいは、女子生徒に囲まれる。


「小鳥遊さん!昨日は和真様が直接迎えに来られてたんですのね!」

「草野くんと和真様が睨み合ったというのは本当ですか!?」

「本命は和真様ですわよね!?」

「え、ええぇ…と…睨み合ってはないよ…?」


噂に尾ひれがつくとはこのことか、と思うほど興奮気味の女子たち。
あおいは気圧されつつも、誤解がある部分は訂正した。
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