義兄と結婚生活を始めます
「父さん!でも、明後日から試験なんですけど、毎日その友人と放課後に一緒に勉強してるんです。自分の復習にもなって、結果としては自分の方が学ばせてもらってます」
「…祐希くんも熱心なんですね」
「はい。その子が頑張ってると、こう…自分も頑張ろうという意欲が出てきますね」
和真への返事に、あおいを思い浮かべながら答える祐希は、照れくさそうな表情を見せた。
「教えた公式とかしっかり覚えて、問題が解けたらすごく嬉しそうにするんですよ、その子」
「わっはは!首席卒業の和真くんに続くんだぞ~」
祐希の隣に座る父親は、わしゃわしゃと頭を撫でた。
「やめろって」など、小声で恥ずかしいことを指摘する祐希は、高校生らしい幼さが垣間見える。
「社長、祐希くんにとっても大切な試験が明後日なら、大人に付き合わせて遅くまで同行させるのは良くないですよ。僕が送っていきます」
「おぉ!さすが和真くん、ありがとう!祐希、お世話になりなさい」
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
和真と祐希は立ち上がると、社長と県議員に会釈して、その場を後にした。
店の出口に案内されて歩いていると、祐希が後ろから話しかけた。
「あの、ありがとうございます。父さん、ただ俺の顔を見せたかっただけで」
「わかってますよ。こちらこそ、社長がすみません。ご自宅まで安全に送り届けますよ」
淡々と答えると、玄関口で靴を出してもらってから外に出る。
少しすると、三森が車を回して来て、二人を乗せて走り出した。
「ご友人にも教えているとは、本当に優秀ですね」
「いやいや…小鳥遊さんに言われると…。でも、その友人、小学生時代に会ってて、明望で再会したんすよ。お互いびっくりして」
「そうですか」
三森がナビに沿って走ると、目的地である草野家に近づいている音が聞こえてくる。
「で、一般家庭の子だから、やっぱ明望の特殊な授業に慣れないようで、放課後は毎日一緒に勉強してるんすよ。良い点数取ってほしいす」
「……は…」
「あ、すみません、もうここで大丈夫です。コンビニ寄って帰るんで」
「えっ、か、かしこまりました」
三森が車を歩道へ寄せて停車すると、祐希は二人にお礼を伝えて車を降りる。
「それじゃあ、あおいによろしく伝えてください。ありがとうございました」
バタンと車のドアを自分で締めると、祐希は車で通ってきた道とは反対に向かって歩いて行ってしまった。
車が発車すると、和真は腕組みをして、少し考えこむ。
そして、スマホを取り出して画面を見た際に、表示された時間を見てスマホを鞄に放り込んだ。