義兄と結婚生活を始めます
24話
『あっそぶぞー!!!』
土曜日の朝に、準備をしていたあおいのスマホへ、祐希からの通知が入る。
あの日以来、浮かない顔と気持ちのままで過ごしていたあおいは、なるべく明るくいようと返事をした。
『来たね!もうすぐ家出るね』
『俺、もう着いた』
祐希の返信を見ると、思わず吹き出してしまった。
今日この日を楽しみにしていたのが全力で伝わってくる。
あおいは自室を出て玄関へ向かった。
和真は仕事のようで、いつもよりも早く出勤して行ったので、気まずさはないが、寂しさを残して家を出る。
三森の車はなく、久々に歩いて交通機関を使うことが新鮮に感じた。
ようやく待ち合わせの駅の広場に着くと、ベンチに座る祐希を見つけた。
「祐希くん!」
「あおい」
ヒラヒラと手を振る祐希の元へ、駆け寄っていく。
「今日楽しみだったんだね」
「おう!だって久々じゃん!昨日の夜は八時には布団に入ったくらい!」
「ふふ…」
なんとなく肩の力が抜けると、鞄を膝に置いて、帽子を被っている祐希の隣に座った。
「何年振りかな~、ちーに会うの。縮んでるかな?」
「それ、ちーちゃんに言うと怒られるよ?」
「でも俺の方がでかいのは確実」
談笑からしばらくして、千尋がなかなか来ないことに不安を感じ始める二人。
「…遅い、よね?」
「大丈夫か?……」
二人でスマホを取り出して画面を開くと、祐希は固まり、あおいはグループトークに入力していく。
入力している途中で、個別トークに千尋から連絡が入った。
『ごめん、お腹痛くて、今日行けない…ごめん…!!』
「え…祐希くん、ちーちゃん今日来れないみたい」
「え゛!?あ!そ、そう!!ちーのやつやばいな!!」
「だね…?」
祐希は赤くなる顔を帽子の鍔で隠した。
千尋が来れなくなったことで、二人の間に妙な沈黙の空気が流れる。
「えっと、どうしようか…」
「あ~……と、とりあえず、どっかで何か食べる…?」
「うーん…そうしようかな。実は朝抜いてきちゃって…ちょっとお腹空いた」
照れ笑いしながらお腹を摩るあおい。
祐希は、スマホに表示される『デートファイト!』という千尋からのトーク画面を閉じた。
それから二人は、どこで何を食べるかを話しながら、並んで歩いた。
近場のカフェの様子を見たり、ファストフード店を提案したりしていく内に、あおいは自然と笑顔を見せていく。
制服以外の服装を見る祐希は、改めてあおいを意識していた。
「あ、ここのフレンチトースト美味しそう」
「じゃあ、ここにしよう」
そのの言葉を聞いて、すぐにカフェに入っていく祐希に続いてあおいも入店した。