義兄と結婚生活を始めます
それからも、問題を出してもらったり、思い出した出題範囲を話したりしていたため、気づけば夕方になっているのに気づいた二人。
チャイムが聞こえたのを合図に、帰る準備を始めた。

自習室を出て、並んで歩きながらあおいは改めて、祐希のすごさを語る。


「やっぱり祐希くんすごいな~!教え方も上手だし、できたらちゃんと褒めてくれるし、先生とか向いてるんじゃないかな?」

「どうかな~?褒めるのは、あおいが喜んでくれるのが嬉しいから」

「そ、そんなことないでしょ!絶対、他の友達も同じように褒めるよ!私わかるもん」


職員室に行き、退出表に記入した後、玄関口へ向かった。


「でも、あおいもすごい頑張ってるから、俺も頑張ろうって思うんだよ」

「え~?まだ褒めるの~?」


まるであやしいといわんばかりに、横目で祐希を見るあおい。
祐希はポンポンと頭をなでる。


「ほんとほんと」

「二回言うのはうそなんだよー」


あははと笑うあおいと祐希は一緒に玄関口から出た。
その瞬間、横から勢いよくグイッと腕を引かれる。

声も出ないまま、引かれた方を見ると、無表情の和真がいた。

よく見ると、肩で息をしており、走ってきたのがうかがえる。


「か、和真さ」

「草野くん、あおいさんはこのまま僕と帰ります。今日は送れませんので、失礼します」


有無を言わさず、あおいの手を掴むと、そのまま連れて祐希の前から去って行った。


(え、なんで?仕事…え…?)


掴まれるように繋いだ手を見てから和真を見上げると、ネクタイを緩めているところだった。
そして、学園の前に三森の車が止まっており、すぐさまドアを開けられると、あおいを先に乗せて自分も一緒に乗り込む和真。


「すぐに出してください。急いで」


ドアを閉める三森に言った後、車はすぐに発車した。
ふーっと息を吐く和真は、再度片手でネクタイを緩めるも、あおいの手を離そうとしなかった。

あおいは状況よりも、和真が何を考えているのかがわからないため、自分から話題を切り出せないでいた。

しばらくして、自宅マンションに着くと、ようやく手を離して車を降りる。
それから降りようとするあおいへ手を差し出し、また手を繋いだ。

エレベーターの中でも無言のままの和真に、あおいは徐々に緊張が増してきた。


(…予定変更になったから、怒ってる…?)


玄関のドアを解錠すると、あおいを引っ張るように、一緒に中に入った。
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