義兄と結婚生活を始めます
(い、いろいろありすぎてる…!!)
途端に一連のことを思い返すと、あおいの顔は真っ赤になった。
枕をギューっと抱きしめ、玄関での和真の表情や吐息が鮮明に思い出されると、目をギュッと閉じる。
そして、自分の鼓動が速く、顔もまだ熱を帯びているのがわかった。
(…やっぱり…手、大きかったなぁ…)
ふと自分の手を見つめるあおい。
もし、すみれが見つかれば、夫婦になり、和真と手を繋ぐのはすみれ。
もし、由梨子と結婚すれば、手を繋ぐ相手は由梨子。
自分ではない誰かが、和真と手を繋ぎ、頭を撫でる。
「ただいま」と言ってくれることもなくなる、そう考えたあおいの胸中がザワついた。
「やだ…」
代役だから見られるようになった和真の笑みも、自分を心配してかけてくれる言葉をもらえなくなる。
それが終わってしまうと、和真との関係は本来の義妹と義兄になる可能性がある。
そう考えると、あおいの胸は苦しくなった。
(やだ…やだ…!和真さんが他の人と…なん、て……)
苦しさの中でハッとすると、勢いよく起き上がる。
震える手を口元に持ってくると、ゆっくりと塞いだ。
「…あ、れ…?これじゃ…私……和真さんのこと…好き…?」
塞ぎきれない言葉が自分の中に響くと、顔は真っ赤になり、手はさらに震えていた。
鼓動は速くなり、枕も先ほどより強く抱きしめた。
「…和真さんが…好き…?」
チラリと見た先は、先ほどまで一緒に飲んでいたココアの入ったマグカップ。
"隣にいたい“のは和真の隣。
気づいていなかった気持ちに気づいてしまうと、すみれや由梨子のことをもっと後回しにしてしまいたい…と、どこかで考えてしまう自分が、少しだけ嫌になる。
「私、和真さんが好き…」
確信的に呟くと、ゆっくりとベッドに倒れ込む。
真っ赤になる顔を枕に埋めるあおい。
(明日からどんな顔したらいいんだろう…)
イメージしてみるものの、まったくつかない自分の姿の代わりに、微笑む和真を想像してしまった。
…ー
和真も自分の部屋についてから着替え、椅子に座ったままボーッとしていた。
あおいからの連絡をもらった際は、すでに帰宅する準備を始めていたのだ。
しかし、迎えに行ってみれば、祐希と一緒に笑っているあおいを見て走り出してしまっていた自分。
「……感情的になりすぎた…」
祐希の前でも、玄関でも、自分が思うままにあおいへ気持ちを吐露していたことに反省を始める。
ただし、伝えたかったことはすべて本心。
「…大人気ない……はぁ…」
小さくもれるため息に、片手で顔を覆う。
机に置いたマグカップを見つめた。