義兄と結婚生活を始めます
26話
翌朝、和真はスマホの着信音で目が覚めた。
体を起こすと、スマホを取り、通話に出る。


「…はい。……はい…はい。…なるほど。…いえ、本人がそう言ったなら待ちますよ。引き続きお願いします」


通話を終えて立ち上がり、スマホを机に置くと着替えを始めた。
着替えを進めていくほど、ぼんやりとした考えが浮かんでくる。

そして、あおいの部屋から物音が聞こえたのを確認し、自分の荷物をまとめて鞄を持って部屋を出た。


「おはようございます」

「おはようございます」


リビングに入れば、あおいの明るい声と挨拶に、自然と口元が緩む自分に気付いた。
口元を触りながら椅子に座ると、朝食が出てくる。


「何か良いことがあったんですか?」


和真の行動を不思議に思ったあおいは、小首を傾げてコーヒーのカップを置いた。


「そうですね…朝一番にあおいさんを見られたから、でしょうか」

「…っ」


クスっと笑うと、カップを取ってコーヒーを飲んだ。
顔を赤くするあおいは、ごまかすようにトーストを食べた。












和真が出社すると、別部署の同僚たちが頭を下げて挨拶をしてくる。
会釈と一緒に挨拶を返すと、自分の部署のドアの前に立った。


「よーっす、はよ」

「…おはようございます」


後ろから声をかけてきた涼介に挨拶すると、ドアを開けて一緒に中に入った。


「……もう落ち着いた感じ?」

「はい?」

「いや、ほら。ちょっと前まで、ずーっとピリピリしてたじゃん。最近なくなったなーと思って」


涼介の言葉を受けて、少し考えこんだ和真。


「え~…自覚なしだったのぉ…?」

「仕事に支障が出てないので、いいでしょう」

「良くないわよ」


由梨子の不満そうな声が聞こえると、二人は一緒に振り返った。
肩に鞄をかけて、腕組みをする由梨子が、和真をジトッと見る。


「口数も少ないのは許すとして、会議での言葉の選び方、少し考えた方がいいわ」

「…それは…そうですね」

「でも、由梨子ちゃんがきっちりフォロー入れてたじゃん」


笑いながら二人の空気を和らげようと努める涼介を置いて、由梨子は口を開いた。


「お、お礼にランチへ誘ってくれてもいいくらい、フォローしたんだからっ」

「それじゃあ、今日はランチに行きましょう、三人で」

「え!?」


同時に声を挙げてしまうほど、涼介も由梨子も驚く。
変わらず無表情な和真は、首を傾げた。


「お礼としてランチに誘う、という話だったでしょう。何か変ですか?」

「どうしちゃったの…和真…まじで何があった?」

「…特には」


自分のデスクにつくと、さっそく今日の業務に就いた。
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