義兄と結婚生活を始めます
昼休憩が近づいてくると、ソワソワし始める由梨子。
合わせて、和真の方へ視線が向かってしまう。


「…和真、そろそろ」

「やほー。腹減り〜」

「……少し早いですが、行きますか?」


時計を確認すると、自分を見ていた由梨子と目線が合った。
不意打ちにドキッとした由梨子は、慌てて視線を逸らしてしまった。


「そ、そうね…!目をつけてたお店も混む前に行きましょ!」

「お、やった。由梨子ちゃんが選ぶ店にハズレなしだもんね」

「そうですね」


三人でオフィスを出ると、少し歩いた。
スマホを見ながら道を確認する由梨子の隣から、和真ススッと車道側に移る。


「歩きスマホは危ないです」

「い、一応見てるわ……あ、ここよ」


由梨子が指さした場所は、隠れ家のような、こじんまりとしたカフェ。


「ここ、ハンバーグとフレンチトーストが美味しいわ」

「おー!いいね」

「…フレンチトースト…」


テンションが上がる涼介の横で、和真はポソっと呟いた。
そして、由梨子を先頭にして、店内へ。

席に案内されると、ランチメニュー表と通常メニュー表を取って、全員が見やすいように広げる涼介。


「ボリュームありそうだね〜ライス付きにしよっかな〜」

「私は…フレンチトーストにしようかしら」

「和真はコーヒーだけ?なんかサラダ頼む?」

「…僕もフレンチトーストで」


さっそく涼介が呼び鈴を押して店員を呼ぶと、各々の注文をお願いした。
店員が去った直後に、和真の顔を覗き込む。


「ほんとに何がどうした!?」

「何がですか?」

「いや…甘いの苦手じゃん。…フレンチトースト?」


おしぼりで手を拭く和真は、涼介の疑問にため息交じりに答えた。


「美味しい店の味を知りたいだけです」

「どうしてフレンチトーストなの?」

「……」


同じようにおしぼりで手を拭いた由梨子は、興味津々な顔で追及する。
逃げ場のない和真は黙ったまま、頬杖をついてそっぽを向いた。


「もう!和真ってば!」

「…作るからですよ」

「誰が?」

「……僕が、です」


目を疑う言葉に、二人が立ち上がりかけたところで、料理が運ばれてきた。
改めて座り直し、各々の前に注文した通りの料理が並ぶ。


「んん!肉汁んま!さすが由梨子ちゃん!」

「ふふ、でしょ~?肉好きの涼介くんは気に入ると思ってたの」


和真も、フォークとナイフを使って、シロップがかけられているフレンチトーストを切り分けると、一口頬張った。
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