義兄と結婚生活を始めます
…—
帰宅してきたあおいは、手を洗って着替えを済ませると、しばらくキッチンで唸っていた。


「……今日は和食にすべきか…洋風にすべきか………たまにチャーハンとか食べたくなるんだよね~…」


小さくため息をついていると、母が時短で作っていたチャーハンが徐々に恋しくなってきた。
和真との生活を始めてから、いつも食卓には数品のおかずを出していたが、たまには一品完食もので済ませたい気持ちが出ていたのだ。


(正直、洗い物も少ないし、バランス考えなくて楽なんだけど…小鳥遊さんの食事でチャーハンなんてイメージがない…!でも…食べたい…!!)


とうとう流しに手をついて俯いて考え始めるあおい。


「ただいま」


(いや、そもそも、和真さんがチャーハンを食べる姿が…ダメだ。オムライスに変換される!…やっぱり、和食にして…いや、パスタで一皿もありかな?)


「ただいま?」

「……は、わ!?え!お、おかえりなさい!!」


ネクタイを緩めながらあおいの顔を覗き込んだ和真に、思わず体が大きく跳ねる。
小首を傾げながら、あおいの様子をじっと見つめた。


「体調が優れませんか?」

「いえ!ちょっと考え事を…!」

「考え事?何かありましたか?」

「大したことではなくて……」


ひたすらに見つめてくる和真の視線に、熱くなる顔を逸らしつつ、恥ずかしそうに答えた。


「…和真さん、チャーハン…とかって…食べますか?」

「はい」


あおいの質問に即答する和真は、ネクタイを完全に外し、カッターシャツのボタンも外した。
意外にも、肯定の返事をもらえたあおいは、パァッと表情が明るくなる。


「あのっ、あの!今夜はチャーハンでもいいですか!?」

「はい。構いません」

「良かった!考え事が解決しました」

「…それは何より」


ポン、とあおいの頭を撫でて微笑むと、和真は荷物を持って自室に行ってしまった。
ニヤけてしまう頬をつねると、一度深呼吸をしてから、夕飯作りを始めた。

和真が戻ってくる頃には、ジュ―ッと炒め物の音が聞こえてくる。


「あ、もうできます!」

「はい」

あおいの言葉を聞けば、そのまま自分の席に着いた。
すると、言葉通り、チャーハンが盛られた皿を持ってくるあおい。


「実はずっと食べたかったんです」


嬉しそうに笑いながら、和真と自分の分を置いて席に着いた。
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