義兄と結婚生活を始めます
まるで、まくしたてるように話し始める由梨子は止まらない。
「私の名前が出せないなら、私が代わりに言ってあげるわ。“別れたい”って。小鳥遊家は企業のトップにいるのよ。それすらも理解していない子どもに、これ以上和真の貴重な時間は割けられないわ!」
「…ひとつ、聞いてもいいですか…」
「あら?何かしら?」
「大切な人って、“跡取りの小鳥遊和真”さんなんですか?」
顔を上げて由梨子と視線を合わせるあおい。
「それは一番、和真さんが望んでいないことなんじゃないでしょうか?」
「…は?」
「和真さんは和真さんです…!笑ったり、悲しんだり…照れたり…いろんな表情を見せてくれる…私にとって、それが大切な和真さんです!」
「……」
「初めて会ったときの和真さん、とっても寂しそうな目をしていたんです。…由梨子さんは気づかないんですか?和真さんは、きっと小鳥遊じゃない自分を」
ガチャンッ
由梨子が自分からカップを落とした。
店員が急いで布巾を持ってくると、割れたカップや床にこぼれた飲み物の後処理を始める。
構わず由梨子は、ギロリとあおいを睨みつけたが、にっこりと笑った。
「とても失礼な子ね。婚約の話が出ていた私に向かって…ふふっ、おかしい…っ。ふふふ…お子様が和真のことを好きになっちゃったのね?」
「…っ!!」
「和真、優しいもの。好きになるのはわかるわ。でも……あなたに和真の何がわかるの?何も知らない子どもが口出さないで」
「…だ…出します…!」
片づけを終えた店員とは別の店員が、新しい飲み物を持って、由梨子の前に置いた。
「前の和真さんは知りません。でも、出会ってからの和真さんを一番近くで見てたのは私です…!」
「……相も変わらず…不愉快な子ね」
「も、もちろん、全部を知ってるわけじゃないですけど…でも、和真さんのことを何も知らない子どもでもありません」
由梨子の視線と合わせるあおいは、真剣な表情で返した。
「和真さんは和真さんです。だから、跡取りだけのためにいるように…決めつけないでください…きっと、それを言われて一番悲しいのは和真さんですよ」
「…本当に…っ…不愉快にさせる子ね!!上っ面でわかった風に言うのはやめてちょうだい!さっさと和真に別れ話をして、婚姻関係を破棄しなさい!」
「嫌です…!わ、私は…和真さんのことが、好きだから…!」
パシャッと、顔に何かをかけられたあおい。
ぽたぽたと滴り落ちるのは、オレンジ色の液体…顔を上げれば、肩で息を切らす由梨子があおいのオレンジジュースが入っていたはずのコップを持っていた。
中身は空となっていたが。
「私の名前が出せないなら、私が代わりに言ってあげるわ。“別れたい”って。小鳥遊家は企業のトップにいるのよ。それすらも理解していない子どもに、これ以上和真の貴重な時間は割けられないわ!」
「…ひとつ、聞いてもいいですか…」
「あら?何かしら?」
「大切な人って、“跡取りの小鳥遊和真”さんなんですか?」
顔を上げて由梨子と視線を合わせるあおい。
「それは一番、和真さんが望んでいないことなんじゃないでしょうか?」
「…は?」
「和真さんは和真さんです…!笑ったり、悲しんだり…照れたり…いろんな表情を見せてくれる…私にとって、それが大切な和真さんです!」
「……」
「初めて会ったときの和真さん、とっても寂しそうな目をしていたんです。…由梨子さんは気づかないんですか?和真さんは、きっと小鳥遊じゃない自分を」
ガチャンッ
由梨子が自分からカップを落とした。
店員が急いで布巾を持ってくると、割れたカップや床にこぼれた飲み物の後処理を始める。
構わず由梨子は、ギロリとあおいを睨みつけたが、にっこりと笑った。
「とても失礼な子ね。婚約の話が出ていた私に向かって…ふふっ、おかしい…っ。ふふふ…お子様が和真のことを好きになっちゃったのね?」
「…っ!!」
「和真、優しいもの。好きになるのはわかるわ。でも……あなたに和真の何がわかるの?何も知らない子どもが口出さないで」
「…だ…出します…!」
片づけを終えた店員とは別の店員が、新しい飲み物を持って、由梨子の前に置いた。
「前の和真さんは知りません。でも、出会ってからの和真さんを一番近くで見てたのは私です…!」
「……相も変わらず…不愉快な子ね」
「も、もちろん、全部を知ってるわけじゃないですけど…でも、和真さんのことを何も知らない子どもでもありません」
由梨子の視線と合わせるあおいは、真剣な表情で返した。
「和真さんは和真さんです。だから、跡取りだけのためにいるように…決めつけないでください…きっと、それを言われて一番悲しいのは和真さんですよ」
「…本当に…っ…不愉快にさせる子ね!!上っ面でわかった風に言うのはやめてちょうだい!さっさと和真に別れ話をして、婚姻関係を破棄しなさい!」
「嫌です…!わ、私は…和真さんのことが、好きだから…!」
パシャッと、顔に何かをかけられたあおい。
ぽたぽたと滴り落ちるのは、オレンジ色の液体…顔を上げれば、肩で息を切らす由梨子があおいのオレンジジュースが入っていたはずのコップを持っていた。
中身は空となっていたが。