義兄と結婚生活を始めます
27話
呆然とするあおいは、ゆっくりと顔を上げて由梨子を見る。
肩で息をしている由梨子の表情は、泣きそうなように感じたあおい。
「…あ…」
「………」
あおいが口を開きかけるが、由梨子はすぐに鞄からハンカチを取り出して、あおいの顔を拭き始めた。
「取り乱したわ…ごめんなさい…」
「…あの、あとは自分で拭きます…」
「これ、クリーニング代」
「だっ、大丈夫です!」
財布を取り出す由梨子は、あおいの言葉も聞かずに、お金をテーブルに置く。
そして、ため息をついて、腕組みした。
「…和真、あなたとどんな話してるの?」
「え?えっと…夕飯の話とか、学園の話、挨拶…とか…です。この前は勉強も教えてもらいました…」
「……そう…。私は、和真のこと、好きよ。ずっと…」
あおいの返答を聞けば、視線を俯かせながら、ぽつりと呟く由梨子。
「会話はいつも私ばかりで、私のことなんて見てない。好きな物も知らないわよ、きっと…。ぽっと出の子ども…貴女の名前を聞くようになってから、あからさまに変わったわ」
「え…」
「…こんなこと、言いたかったわけじゃないのに…はぁ…本当、嫌になる…。もう失礼するわ」
伝票を取る由梨子は立ち上がって会計に向かった。
あおいは追いかけることもできず、ただ凛として歩いていく由梨子の後姿を、見えなくなっても見つめていた。
その後、あおいはオレンジジュースでベタベタな姿で帰宅したため、和真が本を落とすほど驚かれた。
シャワーを浴びて出てきたあおいを、すぐに迎えると、拭きかけのタオルで改めてゴシゴシと代わりに拭く。
「……ズッ…」
「何か言いましたか?」
黙ったまま首を左右に振ったあおいは、髪の毛の水滴と一緒に、目に浮かんだ雫も振り払った。
「あとはドライヤーで乾かしてくださいね。服もクリーニングに出しましたから、大丈夫ですよ」
「ありがとうござい……」
「……?」
由梨子の言葉が、自分の中で何度も何度も繰り返される。
繰り返されるたびに、なんとなく胸が痛くなる理由にも気づいているのに、上手く返せなかった自分が改めて子どもだと思わされた。
由梨子の言葉は本当のことだが、由梨子の気持ちを知ってから、不安よりも焦りに近い感情が芽生えたのだ。
和真の服の裾を掴むと黙ったまま、離さなかった。
「あおいさん?」
「…ココア…一緒に飲みたいです…」
「はい。飲みましょう」
あおいの事情はわからないにしろ、深くは聞いてこない和真は、コクリと頷いた。
キッチンでぼんやりしたまま、作ったココアを温め直すあおい。
拭きこぼれる前に火を止めて、二人分のカップに注いだ。
肩で息をしている由梨子の表情は、泣きそうなように感じたあおい。
「…あ…」
「………」
あおいが口を開きかけるが、由梨子はすぐに鞄からハンカチを取り出して、あおいの顔を拭き始めた。
「取り乱したわ…ごめんなさい…」
「…あの、あとは自分で拭きます…」
「これ、クリーニング代」
「だっ、大丈夫です!」
財布を取り出す由梨子は、あおいの言葉も聞かずに、お金をテーブルに置く。
そして、ため息をついて、腕組みした。
「…和真、あなたとどんな話してるの?」
「え?えっと…夕飯の話とか、学園の話、挨拶…とか…です。この前は勉強も教えてもらいました…」
「……そう…。私は、和真のこと、好きよ。ずっと…」
あおいの返答を聞けば、視線を俯かせながら、ぽつりと呟く由梨子。
「会話はいつも私ばかりで、私のことなんて見てない。好きな物も知らないわよ、きっと…。ぽっと出の子ども…貴女の名前を聞くようになってから、あからさまに変わったわ」
「え…」
「…こんなこと、言いたかったわけじゃないのに…はぁ…本当、嫌になる…。もう失礼するわ」
伝票を取る由梨子は立ち上がって会計に向かった。
あおいは追いかけることもできず、ただ凛として歩いていく由梨子の後姿を、見えなくなっても見つめていた。
その後、あおいはオレンジジュースでベタベタな姿で帰宅したため、和真が本を落とすほど驚かれた。
シャワーを浴びて出てきたあおいを、すぐに迎えると、拭きかけのタオルで改めてゴシゴシと代わりに拭く。
「……ズッ…」
「何か言いましたか?」
黙ったまま首を左右に振ったあおいは、髪の毛の水滴と一緒に、目に浮かんだ雫も振り払った。
「あとはドライヤーで乾かしてくださいね。服もクリーニングに出しましたから、大丈夫ですよ」
「ありがとうござい……」
「……?」
由梨子の言葉が、自分の中で何度も何度も繰り返される。
繰り返されるたびに、なんとなく胸が痛くなる理由にも気づいているのに、上手く返せなかった自分が改めて子どもだと思わされた。
由梨子の言葉は本当のことだが、由梨子の気持ちを知ってから、不安よりも焦りに近い感情が芽生えたのだ。
和真の服の裾を掴むと黙ったまま、離さなかった。
「あおいさん?」
「…ココア…一緒に飲みたいです…」
「はい。飲みましょう」
あおいの事情はわからないにしろ、深くは聞いてこない和真は、コクリと頷いた。
キッチンでぼんやりしたまま、作ったココアを温め直すあおい。
拭きこぼれる前に火を止めて、二人分のカップに注いだ。