義兄と結婚生活を始めます
「…………」
「……ご!ごめんなさい!!私、あのっ!つい…お、落ち込まないでほしいなって…!」
あわててパッと手を離すと、真っ赤になるあおいと、耳を真っ赤にする和真。
和真は頬をかくと、何も返事はしなかった。
(ど、どうしよう…!怒っちゃったかな…!?)
グイッとココアを飲み干したあおいは、空になったカップの中身を見つめる。
和真の動く気配にはしっかりと耳を傾けたまま、再度の沈黙する時間が流れた。
「なるほど…」
「え!?」
先に口を開いた和真の言葉に驚くあおい。
「フォローされるというのは、こういうことなんですね。ただ、男女関係なく、頭を撫でてしまうといささか問題が生じるので、改善すべき点ですね」
「…言ってしまった後に、そうやって言ってみるのも良いと思います。和真さんなりに考えてくれた言葉だと、私なら嬉しいと思います…」
「そうでしょうか…」
「はい!…あと…もう一つだけ聞きたいことが…」
なかなか言い出せないあおいは、ちらちらと視線を向けるだけになってしまった。
ようやく口を開きかけても、閉じるを繰り返すあおいに、小首を傾げる和真。
「……由梨子さんのこと…どう思ってますか…?」
いままでずっと聞きたかった質問。
ずっとモヤモヤしたままだった質問。
和真は、首を傾げたまま考え込む。
「…どう…とは……うーん、仕事はしっかりできますね。細かなミスにもすぐに気づいて修正しますし、業務が滞りなく進め」
「ち、違います!…その……じょ、女性…として…?」
「前にも言いましたが、パワフルすぎて、僕は付いていけません。もっと別の似合うパートナーができればいいとは思います」
「ありがとうございます…」
答えになっているのかいないのか、よくわからない返答だったが、意識されていないことだけはしっかりと伝わった。
由梨子には申し訳ないが、少しだけホッとしてしまったあおい。
俯きながら髪を耳にかけた。
「今日は由梨子のことを聞いてきますが、興味あるんですか?」
「え!?」
「あおいさんが気にすることも、心配するようなこともありませんよ。僕にはあおいさんがいるので」
最後の言葉を聞いてからしばらく呆けていたが、あおいの顔がボッと真っ赤になった。
思わず吹き出してしまった和真は、声を押さえて肩を震わせて笑った。
「今日は百面相ですね」
「わらっ、笑わないでください!」
笑い続ける和真に拗ね始めると、空のカップで顔を隠すあおいの頭をポンポンと撫でた。
ごまかされないという意思表示なのか、和真の方は見ない。
「ペンギンみたいですね、ふふ」
「ペンギン……」
「あぁ。……可愛い、という意味です」
もう耳まで赤くなるしかないあおいは、なかなか顔を上げられない。