義兄と結婚生活を始めます
その様子がまるで和真を前にした自分のようで、つられるように、あおいも顔を赤くした。

鳴り響くメロディも気に留めないで、真剣な表情をあおいへ向ける。


「あ…の…」

「俺のこと、好き?」


再度の質問を投げかけられると、あおいは意を決して口を開いた。


「そこの二人、もう閉めますよ!」


ドアの入り口で待つ教員の声に遮られ、二人は慌てて荷物をまとめて、自習室を出た。
施錠した教員も去って行くと、気まずい雰囲気に包まれたまま立っているだけの二人。


(ど…どうしよう…祐希くん、真剣な顔だった……私は…)


「…とりあえず、帰ろう、か…」

「うん…」


先に歩き出す祐希の後ろに続いて、あおいも歩き出した。
黙々と歩く二人を少しずつ沈む夕日が照らす。


「……やっぱダメだ。あおい」

「はい…!」

「返事、聞きたい」


振り返った祐希の言葉に、ドクンと大きな脈を打つ。
視線を落としかけたあおいは、グッと堪えて祐希の顔を見た。


「ごめん…なさい…。好きな人、いるの…」

「…やっぱな…はは。なんか、そんな感じしてた」

「え!?」

「わかるよ、俺。あおいのこと好きだし、見てるし」


優しく笑う祐希だが、どこか力ない笑いにも見えた。
しかし、片想いの相手がいることに気づかれていることにも、あおいは大きな驚きと焦りが出てくる。


「そ…その…」

「いーよ、言わなくて。大体わかるし」

「へ!?」

「……まぁ…とりあえず、あおいがフラれる可能性にかけて、まだ好きでいてもいい?」


玄関口が近いのか祐希の方から風が吹いてくる。
あおいの髪が舞う中、祐希の切ない表情が垣間見えた。


「そういう聞き方は…意地悪…です…」

「ははっ、じゃあ好きでいるな!」


パッと笑って見せる祐希の言葉に、顔を赤くするあおい。
祐希は、またあおいに背を向けて歩き出した。

あおいも続くと、三森の車が見えてきた。
二人に気づいた三森は、後部座席のドアを開け、あおいを待つ。


「…祐希くん…あの…」

「あ、これで勉強会はもうしない!ってのはなしな。教えるっていう約束は守りたいし」

「あり、がとう…」

「ん。…じゃあ、また明日な…」


笑顔であおいの車を見送った祐希は、片手をポケットに入れて、大きなため息をついた。
半分ほど沈む夕日と平行するように、帰路に着くものの、暗くなるグラデーションの空色は、まるで自分の気持ちを表しているようだった。

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