義兄と結婚生活を始めます
すっかり冷めてしまった、残り少ないココアを飲んだ。
空になったカップを置くと、開いていたパソコンを閉じた。


「ふー…」


ふと、スマホの画面に表示される時間を確認すると、操作して再び耳に当てる。
数回のコール音が聞こえるが、突然ブツリと切れた。

一瞬止まる和真だが、再度かけ直した。


「…もしもし…?なんですか?」

「連絡が遅くなりました、今よろしいですか?海崎さん」

「荷造りで忙しいので、手短にお願いできます?」


電話口の相手はすみれだった。
嫌悪されているようで、あおいと似た声のトゲのある返事が少し刺さった。


「…申し訳ありません。話し合いが帰国直後になりました。送迎の車がいますので、そちらに乗ってください」

「え?……わかりました。それだけですか?」

「はい。あおいさんはこちらが安全に連れていくので、安心して」

「できませんけど、任せました」


和真の言葉を遮り、一言だけ残すと、通話が切られていた。
何も音がしなくなったスマホの画面を見て、小さくため息をつく。

すみれが嫌悪するのも仕方がないと思う和真。

スマホを充電器に挿すと、ベッドに横になり、眠りについた。




















…ー


(……い、居心地が悪い…)


あおいは車に乗ってから、今までに感じたことのない気まずさを感じていた。
左隣にはすみれが、右隣には和真がいるが、すみれが非常に怒りモードだったからだ。


金曜日の夜、突然和真から土曜日の両家話し合いのことを聞き、ひどく驚いた。
当日の朝、飛行機で帰ってくる姉を迎えに行って、一緒に小鳥遊社へ行くことを聞いて、さらに驚いた。

小出しにして教えられることが、こんなにも心臓に悪いものかと思うほどだった。
しかし、ようやくすみれに会えることの嬉しさを感じることの方が、大事だと考え直す。

あおいは制服、和真はスーツと、お互いに見慣れた服で一緒に家を出た。
その際、これが最後だろうと思う気持ちを振り払い、すみれのことを考えた。


空港に着いてすみれの姿が見えると、同時にあおいに駆け寄って和真から引き離されたのだ。


「私がいないからって、妹に…!!あおい…ごめん!本当にごめんね…!」

「お姉ちゃん…くるしっ…」


そんなやり取りをしたが、終始和真を睨んでいたすみれ。
一緒の車に乗るのもやめさせようとするほどだった。

そして現在、あおいが真ん中に座ることで、なんとかすみれに乗ってもらえた。


「小鳥遊さん、妹に変なことしてませんよね?」

「していません」

「お、お姉ちゃん…!和真さんに失礼だよっ」

「失礼なのはあっちよ」


ぼそっと呟いたすみれの言葉が妙に引っかかるが、和真は何も言わない。
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