義兄と結婚生活を始めます


「あおいさんは、僕のことが好きなんですか?」

「え!!あ…え……っと…」


和真からの質問に視線だけが泳いでいたが、頬に触れる和真の手に自分の手を添えて、目線だけ和真に向ける。


「…………す、すき…です」


あおいと視線が合うと、触れていた手は離され、自分の口元を隠すように添えた。
そして、耳まで真っ赤になる和真は、ぽつりと呟いた。


「…なるほど。これは……そうですか…」


その様子を見て、あおいは繋いでいた手をキュッと握った。


「和真さんのこと、好き…です。“おかえりなさい”を言いたいです…一緒にいたい…です」

「僕もあおいさんが好きですよ」


あおいの言葉に、優しい笑顔を見せると、握られた手の指を絡めて握り直した。
言葉にしたことで、和真のひとつひとつの行動を意識してしまうあおいは、恥ずかしさから顔を下に向ける。


「…あおいさん?」

「あの、顔、恥ずかしいので…見ないでください…」

「ダメです。僕が好きなんですから、見せてください」


クスっと笑うと、熱が帯びるあおいの頬にもう一度触れる和真は、顔を近づけた。
恥ずかしさに加えて、和真からの返事にようやく嬉しさを感じていたあおいの目には、わずかに涙が浮かんでいる。

最初は笑っていた和真は、瞬時にあおいの後頭部へ手を回し、自分の胸元に寄せた。


「んむ!?か、和真さん??」

「今の顔は、僕以外には見せないでください」

「へ…?…」


言葉の意図がわからないあおいだが、和真の鼓動の早さを聞くと、何も言えなくなる。
ただ、なんとなく、今の和真の姿は自分だけしか見られないだろう、ということはわかった。


「僕はお姉さんとは、結婚しません。あおいさんが妻なので、安心してください」

「…はい…」


あおいの頭にコテンと頬を寄せると、後頭部をポンポンと撫でた。
すると、あおいはおずおずと、空いた片方の手を和真の背中に回し、カッターシャツを少しだけ掴む。


「…あおいさん…」

「は、はい!ごめんなさい!」

「いえ、その…あおいさんはまだ、その…学生なので、今回はここまでです」

「え…」


慌ててシャツから離そうとした手を察してなのか、繋がれた手が離されてあおいの背中に回された。
和真の大きな両手で、ギュウッと抱きしめられていることに数秒遅れて気づくが、すぐに肩を掴んで離す和真。


「子ども扱いではありません。僕にとっては大切な一人の女性なので…その、これ以上はダメです…」

「は、はい…」


今度こそ、言葉の意味がわからないあおいは、同じように真っ赤になる和真をただ見つめ返した。
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