義兄と結婚生活を始めます
一方で、和真の方は、あおい同様にスマホを耳に当てて通話をしていた。


「申し訳ありません。和真様、社長は出られないとのことで…」

「…週明けの13時に、伺うことを伝えていただけますか?」

「その時間は経営部との会議が入っております。お話だけでしたら、再来週の火曜日の14時だとお時間空けられますが?」

「……その日でお願いします」


通話を切ると、肩でため息をついて、今度は別の相手にかける。
数回のコール音を待たず、相手の慌てる声が聞こえてきた。


「もももしもし!!小鳥遊さんですか!?あおいは…!?」

「申し訳ありません、海崎さん。あおいさんは一緒に帰宅しています。今日はテスト勉強をお願いされていたので」

「な、何もあんな急に出て行かれなくとも…!」

「僕は海崎すみれさんとは結婚しません。あおいさんを…いえ、これは直接お会いしたときにお話します。明日にでもご自宅に伺ってもよろしいでしょうか?」

「ええ!?ぇあ、は、はい…!」


あおいと似たような反応に、笑うのを堪える和真は、「それでは」と言って、電話を切った。
そのままスマホをポケットに入れると、部屋を出てあおいの部屋のドアを叩く。


「…は、はい…」

「あおいさん、勉強しましょうか」

「お願いします…」


少しドアを開けて顔を覗かせるあおいは、勉強道具やらが入った鞄を持って、和真とリビングへ。


(なんというか…よ、余韻…とか…!あれ!?私がおかしいのかな…!?)


悶々と考えながら、自分の椅子に座ると、その隣に和真が椅子を持ってくる。
ガタガタという音と一緒に、距離の近さにあおいはまたドキドキした。


(うぅ…和真さんは平気そうなのに〜…!大人だ〜…!)


「…あおいさん?教科書を…」

「は、はい!!」

「ノートも一緒に」

「はい…!」


和真の言葉にササッと鞄から取り出し、手渡すとすぐに膝に手を置いて、下を向いた。
あおいから教科書とノートを受け取った和真、開いて内容を読む。

次にあおいは、ソロソロと自習用のノートを開いて、なるべく音を立てないようにしながら、筆箱からペンを取り出した。


「ペンを貸してもらえますか?」

「はい!」


顔を赤くするあおいがペンを渡してくれるが、あおいが持っているペンを凝視した。


「あ…っ、こ、これ…使って頑張れてます…!」

「…そうですか」


以前水族館に行った際に、和真からプレゼントされたペンギンのペンだった。
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