義兄と結婚生活を始めます
テーブルに出来上がったおかずを並べ、二人の食卓が完成した。
結っていた髪はそのままで、エプロンを外して椅子にかけるあおいに、和真は先に座る。


「今日は手伝っていただいて、ありがとうございました!いただきますっ」

「いただきます」


二人で手を合わせて食事の挨拶をすると、和真はさっそく肉じゃがへ箸を伸ばした。
ゴロッとホクホクのジャガイモを、ひと口食べるとモグモグと味を噛みしめる。


「……うん。やっぱりあおいさんの肉じゃが、美味しいです」

「ありがとうございます」

「…普段から家で料理をしていたんですか?」

「はい。お父さんは和真さんのところで、お母さんもパートで遅い日もあって、お姉ちゃんは深夜くらいに帰ってきてたので…家事はひと通りしてました」


初めてあおいの家庭環境を聞いた和真は、少し驚いた。
あっけらかんに話すあおいは、俯く和真の様子に気づくと慌てる。


「もっ、元々!家のことするの好きですし、今は和真さんが喜んでくれるのが嬉しい…です……」

「…無理しているときは家政婦でも雇いますか」

「え!?それは…私が落ち着きません…一緒に料理とかできなくなりますし…」


ようやくクスッと笑ってくれた和真見て、安心するあおい。
ふと、和真の家族について、気になった。

最初の結婚式や話し合いの場でも、“母親"らしき人がいなかった。
特に話題に出ることも、聞くこともなかったため、少しだけ気になっていた気持ちが大きくなる。


二人は食事を終え、和真はお風呂に、あおいは使った食器を洗っていた。


(…どんな人なんだろう…和真さんのお母さん…美人な人なのは間違いないよね)


和真の容姿から、勝手に想像を膨らませる。
ふふっと笑いをこぼしていると、和真が頭を拭きながらリビングに戻ってきた。


「お先にいただきました」

「ちょうど終わりました。コーヒー淹れますか?」

「…ココアがいいです。あおいさんが上がってきたら、一緒に飲みましょう」

「はい…ありがとうございます…」


濡れた髪のまま笑みを見せる和真に、ドキッとしつつ、あおいは手を拭いて、パタパタと横を通りすぎる。
その際に、肩を掴まれて動きを止められた。


「慌てなくて大丈夫ですよ」

「はっ、はい…」


それだけを伝えると、パッと手を離す和真。
胸の鼓動を感じながら、あおいはお風呂へ向かった。
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