義兄と結婚生活を始めます
32話
あおいがお風呂から上がってくると、キッチンに立つ和真の元へ。
すでにココアを作る準備とマグカップ二つが置いてある。


「見ていてもいいですか?」

「はい」


ふふっと笑うと、鍋を火にかけて、ココアを作り始めた。
鍋がコトコトと小さな音を立てているなか、あおいは気になっていたことを聞いた。


「…あの、和真さんの言ってた問題って、なんですか?」

「あぁ。……そうですね…」


口元に手を添える和真は、チラリとあおいを見る。
不思議そうな顔で見上げてくると、その頬に触れた。


「あおいさんが僕を好きか知りたかった、というのが問題でした」

「…へ……」

「なので、解決しました」

「は、はい…」


優しく笑う和真は、あおいの髪に触れ、指に絡めていく。


「……好き?」

「好き…です…」


和真からの質問に答えると、すぐに真っ赤になる顔を逸らして火を止めた。
カップを持った和真について、一緒にソファーへ向かった。

あおいが先に座るのを確認してカップを渡すと、和真も隣に座る。
そして、すぐにココアをひと口飲み、ふぅっと息をついた。


「美味しい…あおいさんのココア」

「あ、ありがとうございます…」


ぎこちないながらも、あおいも一緒にココアを飲んでホッと息をついた。
温かいココアは、体の緊張をほぐしてくれる。


「あおいさんが僕を避けている間も、飲みたかったです」

「……ご…ごめんなさい…」

「…僕はあの時、なぜ避けられていたんでしょうか?」

「う……怒らないですか…?」

「怒りませんよ」

「……実は、由梨子さんと会って…ー」


由梨子との会話を含めて説明すると、しばらく考え込んで、眉間にしわを寄せた。
足を組んだ和真は、ココアを飲む。


「由梨子には僕から言っておきます。身内がすみません…」

「黙っててごめんなさい……あの、ほんとに由梨子さんとの婚約話は…」

「挙がってはいましたが、社長が難色を示していたので…まぁ、由梨子側からすれば、円滑に進まなかったでしょうね」


ため息をつく和真の様子を見ても、由梨子の気持ちを知るあおいは何とも言えない気持ちになった。
ただ、本当に結婚の話があった確認が取れると、少し不安を感じた。


「…お姉ちゃんと社長さんが会わなかったら、和真さんは由梨子さんと結婚してたかも、なんですよね…」

「有り得ません。逃げます」


和真の最後の言葉で、あおいは吹き出して笑い声が出てしまった。


「…そんなにおかしなことを言ったでしょうか…」

「ご、ごめ、なさ…ふふっ、和真さんからは想像できない言葉だから。あははっ」

「何度でもあおいさんを連れて逃げますよ」


笑っていたあおいの挙動が止まる。
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