義兄と結婚生活を始めます
母とキッチンにやって来たあおいは、流しに寄りかかりながら、クッキーを食べるすみれと目を合わせた。
見かねた母が、注意する。


「んもうっ、すみれ!お行儀悪い」

「久々の実家なんだからいーじゃん。ね、小鳥遊さんが持ってきた茶葉って…うわ…小鳥遊メーカー…自分のとこじゃん」

「……」

「あおい、人数分のカップ出して」


紙袋から小箱を取り出したすみれは、クッキーを食べながら、苦い顔をしてみせる。
浮かない顔のあおいは黙ったまま、母から言われたとおりに食器棚からカップを出した。

鼻歌を歌いながらお湯を沸かし、焼き菓子を皿に盛り付ける母。


「お母さん…私もやっぱり…」

「女同士の話があるように、男同士の話もあるわよ。それより、あおいもあおいで全然連絡くれないんだから。小鳥遊さんとどんな風に過ごしてたの?学園はどう?」

「私もそれ気になる〜」

「…うん…えっとね…ー」


和真との日々の生活や学園の話、祐希の話をしたあおい。
すみれは懐かしそうに祐希名前を呼ぶ。


「祐希くんか〜…あの日、あおいずーっと泣いてたね〜」

「はは…まさか学園…というか、県議員の家の子なんて知らなかったよ…」

「あら、祐希くんのお母さんと友達よ、お母さん」

「それは言おうよ…」


唐突な事実を出す母に、少しばかり呆れるすみれ。


「でも、祐希くんのおかげで勉強も楽しいよ」

「で?結婚を約束してた祐希くんを跳ねて、小鳥遊の和真さんと?」

「お、お姉ちゃん…!!」


ニヤニヤと笑うすみれの言葉に、あおいは顔を赤くした。
母はあおいの背中をポンと叩く。


「…説教をしたいんじゃないけど…あおいが思う以上に、結婚って大変よ?まして、小鳥遊さんのところは…」

「私…私は…それでも、和真さんと一緒にいたいよ…」


小さく返すあおいに、母は微笑んで優しく頭を撫でた。
どこか納得のいかないすみれは、口を尖らせていた。


「心配なんだけど〜…それ以上に、なんか嫌!」

「え…」

「妹の結婚よりも、可愛い妹を取られるのが嫌!!大体、付き合うきっかけが偽装夫婦って…どんな漫画よ…」

「え?」

「え?」


思わず吹き出して笑うあおいは、すみれの言葉で止まった。
すみれも、あおいの反応を見て止まる。


「いや…付き合ってるんでしょ?二人…」

「……え…!?」

「あら。違うの?」


すみれと母からの質問に顔を逸らすあおいは、タラタラと冷や汗が出てきた。


(あれ!?付き合う!?…私も和真さんも好きって言って知ったけど…そっか!!好きの後ってお付き合いがあるんだ…!?…あれ?でも……付き合うってなにするの…?)


一人悶々と悩むあおいは、男女の付き合いを想像するが、普段の自分と和真の何が違うのか、よくわからなかった。


「…言っとくけど、あおいたちの場合、初めましてから同棲になってるからね…?付き合うすっ飛ばしての結婚申し込みだから…」

「えぇえ!?」

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