義兄と結婚生活を始めます
階数が上がり、目的の階に着くと、重い扉がゆっくりと開く。
エレベーターを降りて少し歩くと、壁に寄りかかって腕を組む由梨子がいた。
「五分前ね。指定したんだから、待っててほしいわ。あおいさんはもっと早かったわよ?」
「…貴女も…裏から手を回すのは早いですが、限度というものがあります。相手は学生ですよ?」
「その言葉、そっくり返すわ。今噂になってること、早く取り消した方がいいわよ!小鳥遊だけじゃない…貴方が傷つくのよ!?」
「…僕は構いませんよ。あおいさんが傷つかなければいいんです」
由梨子は、組んでいた腕を下ろすと、握り拳を作り、ワナワナと震わせる。
「あ…んな、あんな子どものどこがいいのよ!?私の方が和真を支えられる!小鳥遊を支えられるわ!!」
「…僕は由梨子の気持ちに応えられません」
「……っ…、今まで気づきもしなかったくせに…っ」
足を進めると、由梨子の前に立った。
顔を上げる由梨子と目が合うと、顔を赤らめて逸らされる。
「僕はあおいさんが好きです」
「……本気で言ってるの…?子どもよ?」
「本気ですよ。僕にとっては一人の女性です。それに…本気でなければ、由梨子の気持ちにも気付きませんでしたから」
「…私の方が和真を知ってるわ…!だって!!子どもの頃からずっと、ずっと…!!…見てきたもの…っ」
「…これからの僕を知るのは、あおいさんです」
由梨子を通りすぎると、社長室へ向かう和真。
肩を震わせる由梨子へ振り返らず、和真は立ち止まった。
「ありがとうございます。由梨子…」
「…もっと早くフッてよ…」
そして、和真はそのまま社長室へ向かった。
残された由梨子は、目に浮かぶ涙を堪えるように顔を上げる。
「…っ、はぁ〜…なんなのよ…ほんと…」
ポツリと呟くと、和真が乗ってきたエレベーターへ向かった。
コツコツと響くヒールの音に、自分を奮い立たせるように胸を張った。
しかし、エレベーターに乗り込めば、項垂れるように壁に寄りかかる。
「…何年越しでフラれたのかしら…」
ふと、脳裏にあおいとの会話が過り、和真の「一人の女性」という言葉が反芻した。
二人の決定打をなんとなくで察する由梨子は、降りる階数に気づき、しっかりと立つ。
自分の気持ちのように重く開く扉。
「あれ?由梨子ちゃん?あ、上からきた?和真と会った?」
目の前に立つ涼介が、扉が閉まらないよう、すぐに手で押さえて笑う。
すると、糸が切れたように、由梨子の目から涙がこぼれ落ちた。
エレベーターを降りて少し歩くと、壁に寄りかかって腕を組む由梨子がいた。
「五分前ね。指定したんだから、待っててほしいわ。あおいさんはもっと早かったわよ?」
「…貴女も…裏から手を回すのは早いですが、限度というものがあります。相手は学生ですよ?」
「その言葉、そっくり返すわ。今噂になってること、早く取り消した方がいいわよ!小鳥遊だけじゃない…貴方が傷つくのよ!?」
「…僕は構いませんよ。あおいさんが傷つかなければいいんです」
由梨子は、組んでいた腕を下ろすと、握り拳を作り、ワナワナと震わせる。
「あ…んな、あんな子どものどこがいいのよ!?私の方が和真を支えられる!小鳥遊を支えられるわ!!」
「…僕は由梨子の気持ちに応えられません」
「……っ…、今まで気づきもしなかったくせに…っ」
足を進めると、由梨子の前に立った。
顔を上げる由梨子と目が合うと、顔を赤らめて逸らされる。
「僕はあおいさんが好きです」
「……本気で言ってるの…?子どもよ?」
「本気ですよ。僕にとっては一人の女性です。それに…本気でなければ、由梨子の気持ちにも気付きませんでしたから」
「…私の方が和真を知ってるわ…!だって!!子どもの頃からずっと、ずっと…!!…見てきたもの…っ」
「…これからの僕を知るのは、あおいさんです」
由梨子を通りすぎると、社長室へ向かう和真。
肩を震わせる由梨子へ振り返らず、和真は立ち止まった。
「ありがとうございます。由梨子…」
「…もっと早くフッてよ…」
そして、和真はそのまま社長室へ向かった。
残された由梨子は、目に浮かぶ涙を堪えるように顔を上げる。
「…っ、はぁ〜…なんなのよ…ほんと…」
ポツリと呟くと、和真が乗ってきたエレベーターへ向かった。
コツコツと響くヒールの音に、自分を奮い立たせるように胸を張った。
しかし、エレベーターに乗り込めば、項垂れるように壁に寄りかかる。
「…何年越しでフラれたのかしら…」
ふと、脳裏にあおいとの会話が過り、和真の「一人の女性」という言葉が反芻した。
二人の決定打をなんとなくで察する由梨子は、降りる階数に気づき、しっかりと立つ。
自分の気持ちのように重く開く扉。
「あれ?由梨子ちゃん?あ、上からきた?和真と会った?」
目の前に立つ涼介が、扉が閉まらないよう、すぐに手で押さえて笑う。
すると、糸が切れたように、由梨子の目から涙がこぼれ落ちた。