義兄と結婚生活を始めます
…ー

明望学園では、時計の針を見る教員が口を開こうとしていた。


「……はい、そこまで!答案用紙を集めてください」


教員の言葉の後、チャイムが鳴り、あおいはひと息ついた。


「お…終わった〜〜…」

「後は結果だね〜」

「咲ちゃぁん……」

「相変わらずですわね、咲。あおいさん、夏休みは私たちとお出かけしましょうね!」

「うん!行こう!」


用紙を前にも回した三人は、これからの夏休みの話しで盛り上がった。
すると、入り口の方から声をかけられる。


「あおいー!ちょっと!」

「祐希くん」


手招きする祐希の元へかけ寄ると、一緒に廊下に出た。
あおいへ振り返った祐希は、驚きと嬉しそうな表情を見せた。


「すみれ姉ちゃん帰ってきたって!?」

「うん!あ…でも、一昨日、フランスに戻っちゃった…」

「だあー!ちょっと会いたかったな〜」

「祐希くんのこと覚えてて、県議員の息子って聞いて驚いてた。よろしくって言ってたよ」


祐希の反応を見て、クスクスと笑うあおい。
すみれは、職場に改めて事情を説明したことと、和真の計らいもあったことで、無事に元のポストへ戻れることになった。

和真の介入に少し意地を張っていたすみれだが、お礼を伝えてからフランスに出国した。



「あ、テストどうだった?今度、一緒に復習する?」

「うん。ありがとう」


ニコッと笑うあおいに、祐希は手を伸ばしかけたが、すぐに引っ込めた。
代わりに、後頭部をかいて視線を泳がせる。


「…あの、さ…」

「あのね、祐希くん。言わなきゃいけないことがあって…」

「……ん」


あおいの表情を見ると、すぐにわかってしまう自分に、ちょっとだけ苦さを感じる祐希。


「私ね、か、和真さんが好き…なので、その…祐希くんとの約束…守れない…」

「…うん」

「だから、あの…ご、ごめんなさい…大切な友達でいてほしい…です…」

「うん……まだちょっと引きずるかもだけど、あおいは普通に接してな?復習会するとき、また連絡する」

「う、うん…!」


仕方ない、というかのように笑う祐希は、改めてニカッと笑って去っていく祐希の背中を見送る。
その背中が見えなくなると、あおいは教室に入り、未来たちの元へ戻った。

廊下の曲がり角を曲がってすぐ、祐希は立ち止まると、壁に寄りかかってズルズルと座り込んだ。


「おー?祐希どしたー?」

「草野くん?気分悪い?」

「…いやぁ…めっちゃフラれた!」


祐希を知る同じクラス、他クラスの友人が驚きと慰めの声をかける。
一部の女子生徒からは悲鳴に近い、黄色い声が上がった。

多くの友人たちに囲まれて、祐希は立ち上がると、自分のクラスへ歩いていった。
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