義兄と結婚生活を始めます
「はい…」
「使わせていただきます」
食器棚から取り出したコーヒーカップに、引き出しから取り出したコーヒースティックの中身を入れ、お湯を注いでいく。
あおいは、急いで食べ終わると、すぐに食器を下げた。
キッチンへ向かえば、カチャカチャと軽い音をさせてカップの中身をかき回す和真が視線を向ける。
「どうしました?」
「え、あ…何かお手伝いを…と…」
「自分でできるので結構ですよ。それよりも、後のことを任せていいですか?」
頷くあおいを見て、飲み干したコーヒーカップを置く和真。
あおいの横を通り過ぎると、リビングから出ていった。
(和真さん…行動が読めないし、動きが早い…)
知り合って日も経っていないせいか、なかなか和真のことを掴めないあおいは、悶々とした感情を抱える。
すると、スーツの上着を着てカバンを持った和真が戻ってきた。
「僕は行きます。何かあったら連絡してください」
「はい…!」
真っすぐ玄関に向かう和真の後ろから、あおいはついて歩く。
靴を履いた和真は、あおいへ振り返ると首を傾げた。
「…?何か?」
「えっと…いってらっしゃい、和真さん」
「………いって…きます…」
微笑むあおいに送られた和真は、ボーっとしながら玄関のドアを閉める。
待っていたエレベーターがついて乗り込むと、口元を手で覆った。
少し赤くなる顔と、緩みそうになる口元を隠すためだった…。
…―
和真を見送った後、あおいはテーブルに残った物を片付けて、食器を洗う。
流れる水や泡を見ながら、出ていく和真の様子を思い返した。
(私、変なこと言ったかな…)
様々な考えを巡らせている間に、洗い物を終えると自室に戻る。
そして、スマホを取り出すと父親からの不在着信に気づいた。
「お父さん…!」
すぐにかけ直すが、しばらくコール音が鳴る。
なかなか出ないために、遅かったかと電話から耳を離そうとした。
「…あおい!?」
「あ、お父さん!電話ごめんね…おはよう」
「あぁ…おはよう。ごめんなぁ…すぐに電話できなくて…」
あおいの声を聞いて安堵した声音の父親に、あおいも安心した。
スマホに耳を当てたまま、あおいはベッドへ腰を下ろす。
「大丈夫だよ。お父さんは大丈夫?」
「お父さんのことはいいんだ。それでな、学校のことだけど…小鳥遊社長になんとか合格した高校に通えるよう頼んでたんだ…」
「…え…」
思わぬ報告に、あおいの心臓はドクリと音を鳴らした。
淡い期待を抱いて、父親の言葉を待つ。
「…すまん…!何度お願いしても無理だった…!本当にすまん!!」
小さな希望と期待は粉々になり、俯くあおい。
しかし、唇を嚙みしめてから、父親へ返事をする。
「私は大丈夫。お願いしてくれてありがとう、お父さん」
「受験勉強も頑張っていたのも見てきた…あおいにばかり…本当に父親として情けない…ごめんなぁ…」
「も~、私は大丈夫だって!あ、お父さん明望学園の制服知ってる?昨日サイトみてたんだけど、すっごく可愛いの!…あ、制服作りに行く日っていつかな?決まったら連絡してね!」
明るい声で父親へ伝えると、耳からスマホを離す。
あおいの名前を呼んでいた父親の声が微かに聞こえてはいたが、構わず通話を切った。
スマホを置いたあおいは、仰向けになってベッドに横になると、目頭と鼻がツンとなるのを感じてめを閉じる。。
「使わせていただきます」
食器棚から取り出したコーヒーカップに、引き出しから取り出したコーヒースティックの中身を入れ、お湯を注いでいく。
あおいは、急いで食べ終わると、すぐに食器を下げた。
キッチンへ向かえば、カチャカチャと軽い音をさせてカップの中身をかき回す和真が視線を向ける。
「どうしました?」
「え、あ…何かお手伝いを…と…」
「自分でできるので結構ですよ。それよりも、後のことを任せていいですか?」
頷くあおいを見て、飲み干したコーヒーカップを置く和真。
あおいの横を通り過ぎると、リビングから出ていった。
(和真さん…行動が読めないし、動きが早い…)
知り合って日も経っていないせいか、なかなか和真のことを掴めないあおいは、悶々とした感情を抱える。
すると、スーツの上着を着てカバンを持った和真が戻ってきた。
「僕は行きます。何かあったら連絡してください」
「はい…!」
真っすぐ玄関に向かう和真の後ろから、あおいはついて歩く。
靴を履いた和真は、あおいへ振り返ると首を傾げた。
「…?何か?」
「えっと…いってらっしゃい、和真さん」
「………いって…きます…」
微笑むあおいに送られた和真は、ボーっとしながら玄関のドアを閉める。
待っていたエレベーターがついて乗り込むと、口元を手で覆った。
少し赤くなる顔と、緩みそうになる口元を隠すためだった…。
…―
和真を見送った後、あおいはテーブルに残った物を片付けて、食器を洗う。
流れる水や泡を見ながら、出ていく和真の様子を思い返した。
(私、変なこと言ったかな…)
様々な考えを巡らせている間に、洗い物を終えると自室に戻る。
そして、スマホを取り出すと父親からの不在着信に気づいた。
「お父さん…!」
すぐにかけ直すが、しばらくコール音が鳴る。
なかなか出ないために、遅かったかと電話から耳を離そうとした。
「…あおい!?」
「あ、お父さん!電話ごめんね…おはよう」
「あぁ…おはよう。ごめんなぁ…すぐに電話できなくて…」
あおいの声を聞いて安堵した声音の父親に、あおいも安心した。
スマホに耳を当てたまま、あおいはベッドへ腰を下ろす。
「大丈夫だよ。お父さんは大丈夫?」
「お父さんのことはいいんだ。それでな、学校のことだけど…小鳥遊社長になんとか合格した高校に通えるよう頼んでたんだ…」
「…え…」
思わぬ報告に、あおいの心臓はドクリと音を鳴らした。
淡い期待を抱いて、父親の言葉を待つ。
「…すまん…!何度お願いしても無理だった…!本当にすまん!!」
小さな希望と期待は粉々になり、俯くあおい。
しかし、唇を嚙みしめてから、父親へ返事をする。
「私は大丈夫。お願いしてくれてありがとう、お父さん」
「受験勉強も頑張っていたのも見てきた…あおいにばかり…本当に父親として情けない…ごめんなぁ…」
「も~、私は大丈夫だって!あ、お父さん明望学園の制服知ってる?昨日サイトみてたんだけど、すっごく可愛いの!…あ、制服作りに行く日っていつかな?決まったら連絡してね!」
明るい声で父親へ伝えると、耳からスマホを離す。
あおいの名前を呼んでいた父親の声が微かに聞こえてはいたが、構わず通話を切った。
スマホを置いたあおいは、仰向けになってベッドに横になると、目頭と鼻がツンとなるのを感じてめを閉じる。。