義兄と結婚生活を始めます
7話
息を整えるあおいの父親。
彼が落ち着くまで和真は待った。
「す、すみません…!あと少し…!」
「私はまだ時間がありますので、大丈夫です」
数十秒経つと、あおいの父は顔を上げる。
和真をじっと見た後に、再び頭を下げた。
「小鳥遊さんお願いです!娘…あおいが合格していた高校に通えるよう、社長に頼んでみてほしい!社員の立場ではなく、父親として息子の君にお願いしている!」
「…申し訳ないですが、無理です」
「え…」
頭をゆっくりと上げると無表情の和真がいるだけだった。
微かに予想していた返事に、あおいの父は縋ろうと和真の肩に手を伸ばす。
「あの子は…友だちと一緒の高校に行くために勉強を頑張っていたんだ…!その努力を無下にはしたくない!」
「……申し訳ありません…」
肩に置かれたあおいの父の手が、震えていることに気づいた和真。
和真の脳裏には、勉強を必死にしているあおいの様子が想像される。
あおいの父が掴む手を取ると、そっと離れた。
「全ての決定権は社長にあります。息子である私の言葉にも耳は貸さないでしょう…申し訳ありません」
「そん……っ!!」
グッと堪えたあおいの父親は、出てこようとする言葉を飲み込んだ。
しかし、和真が代わりに言葉を紡ぐ。
「代わりに…とは言えないですが、代役をこなしてくれる間は、あおいさんを大切にすることを約束します。絶対に守ります。どうか、学校の件は社長…私の父に従ってください」
今度は和真が頭を下げると、父親は唖然とした。
悲痛な表情を見せるあおいの父親だが、和真の言葉と態度、あおいに全てを背負わせてしまった自分の不甲斐なさを認める。
「…あおいは、内気な方で…私やすみれの後ろを必ずついて回る子です…本当は不安を感じやすいと思います…。あおいを…私の大切な娘を頼みます…」
「はい」
顔を上げる和真は、真剣な眼差しを向けた後に、フッと微笑んだ。
和真を信じることを決めたあおいの父親は、話を終わらせようとヘラっと笑った。
「引き止めてしまってすみません!では、私も戻ります!」
「…それから海崎さんにお伝えしておきます。私の方で海崎すみれさんの行方を調べています」
「なん…!何かわかりましたか!?すみれは…!!」
驚くあおいの父親は、ごくりと息を飲む。
和真は首を横に振った。
「申し訳ありません。まだ調べ始めたばかりなので何も…。ただ、この件はあおいさんには内密にお願いします」
「……そう…だな…余計な不安になるな…うん。わかりました」
「ありがとうございます。あ、私の番号を教えておくので、いつでも連絡をしてください」
胸ポケットからメモ帳とボールペンを取り出して、サラサラと自分の番号を書いていく。
彼が落ち着くまで和真は待った。
「す、すみません…!あと少し…!」
「私はまだ時間がありますので、大丈夫です」
数十秒経つと、あおいの父は顔を上げる。
和真をじっと見た後に、再び頭を下げた。
「小鳥遊さんお願いです!娘…あおいが合格していた高校に通えるよう、社長に頼んでみてほしい!社員の立場ではなく、父親として息子の君にお願いしている!」
「…申し訳ないですが、無理です」
「え…」
頭をゆっくりと上げると無表情の和真がいるだけだった。
微かに予想していた返事に、あおいの父は縋ろうと和真の肩に手を伸ばす。
「あの子は…友だちと一緒の高校に行くために勉強を頑張っていたんだ…!その努力を無下にはしたくない!」
「……申し訳ありません…」
肩に置かれたあおいの父の手が、震えていることに気づいた和真。
和真の脳裏には、勉強を必死にしているあおいの様子が想像される。
あおいの父が掴む手を取ると、そっと離れた。
「全ての決定権は社長にあります。息子である私の言葉にも耳は貸さないでしょう…申し訳ありません」
「そん……っ!!」
グッと堪えたあおいの父親は、出てこようとする言葉を飲み込んだ。
しかし、和真が代わりに言葉を紡ぐ。
「代わりに…とは言えないですが、代役をこなしてくれる間は、あおいさんを大切にすることを約束します。絶対に守ります。どうか、学校の件は社長…私の父に従ってください」
今度は和真が頭を下げると、父親は唖然とした。
悲痛な表情を見せるあおいの父親だが、和真の言葉と態度、あおいに全てを背負わせてしまった自分の不甲斐なさを認める。
「…あおいは、内気な方で…私やすみれの後ろを必ずついて回る子です…本当は不安を感じやすいと思います…。あおいを…私の大切な娘を頼みます…」
「はい」
顔を上げる和真は、真剣な眼差しを向けた後に、フッと微笑んだ。
和真を信じることを決めたあおいの父親は、話を終わらせようとヘラっと笑った。
「引き止めてしまってすみません!では、私も戻ります!」
「…それから海崎さんにお伝えしておきます。私の方で海崎すみれさんの行方を調べています」
「なん…!何かわかりましたか!?すみれは…!!」
驚くあおいの父親は、ごくりと息を飲む。
和真は首を横に振った。
「申し訳ありません。まだ調べ始めたばかりなので何も…。ただ、この件はあおいさんには内密にお願いします」
「……そう…だな…余計な不安になるな…うん。わかりました」
「ありがとうございます。あ、私の番号を教えておくので、いつでも連絡をしてください」
胸ポケットからメモ帳とボールペンを取り出して、サラサラと自分の番号を書いていく。