義兄と結婚生活を始めます

目頭をつまむと、気持ちを切り替えたのか、隣のデスクを指さす。


「共有ファイルと、担当しているプロジェクト、それから契約先の担当者について説明をするので座ってください」

「やった!ありがとう和真!」


満面の笑顔で頷くと、ちかくにまとめていた自分の荷物をすぐに持ってきた。
デスクのパソコンの電源を入れてから、すぐにメモとペンを持つ由梨子。


「まずこれが……〜〜で、それに加えて…ー」

「これは誰が担当してるの?」


ふむふむと頷きながら、スラスラとメモを取り始める。
時折、質問を交えつつも、和真の説明に完璧についていった。


「ー…これくらいですね。午後は僕の担当先とプロジェクト進捗報告をするので、同席してもらいます」

「わかったわ。それじゃあ、私はこの部分を担当したらいいのね」

「…お願いします」


和真が指示しようとしていた内容を、すぐに察してはパソコンと向かい合い、カタカタとキーボードを叩く。
電話がかかってくれば、すかさず受話器を取って取り次ぎをした。


「小鳥遊さん」

「はい!」

「なんでしょう?」

「あ…えっと、和真さんの方…で」


書類を持ってやってきた和真の部下は、二人同時に返事をしたことに戸惑いつつ、小さな声で和真を呼んだ。
由梨子は思わず吹き出してしまった。


「あっはは!ごめんなさい!小鳥遊二人はややこしいわよね。私の方は由梨子でいいわ。ね、和真」

「…セクハラに思わない、思わせないのであれば。周知してください」

「わ、わかりました!それでですね、ここの…」


部下からの質問に答える和真を見る由梨子は、緩んでしまう口元を咳払いで隠した。


「ありがとうございました!」

「次からはもう一つ前の工程で教えてください。大幅なロスになりかねません」

「は、はい!!申し訳ありません!!」

「和真!相変わらず言い方が良くないわ。あなたのミスにしたくないって意味だと思うの。よね?」


和真はコクリと頷くと、部下はホッと胸を撫で下ろす。
そして、会釈をして、自分のデスクへ戻って行った。


「…ありがとうございます」

「ふふ。ランチをごちそうしてくださいね、和真先・輩」


クスクス笑うと、しっかりと昼食の約束を取り付ける由梨子。
由梨子のからかいに反応は見せず、和真は仕事を続けた。

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