義兄と結婚生活を始めます
…ー

その頃、明望学園の食堂で、あおいは豪華なランチを満喫していた。


「おいしい~!」

「ふふ一流のシェフが作っているんですもの。でも、今日のランチBは正解でしたわ」

「未来の好きなイチゴのケーキだもんね」


あおいを挟んで食べ進める二人に、あおいは大きな反応を見せた。


「え!?未来ちゃんってショートケーキ好きなの!?」

「はい。三ツ星のお店のところが好きなのですが、学園のショートケーキも好きなんですの」

「私も好きだよ!イチゴのショートケーキ。咲ちゃんは?」

「…ん~…チョコかなぁ。イチゴの乗ったやつ」

「じゃあ、みんなイチゴ好きだね」


新たにできた友達のことを、少しずつ知れるあおいにとっては、楽しくて嬉しい昼食の時間となった。
食べ終えた後は、学園の案内と称して、校内を歩きながら談笑をして三人は歩いた。


「すごい…噴水がある…」

「あそこで読書をするのも楽しいですよ」

「少し休んでこうよ」


咲の提案に、さっそく噴水の前にあるベンチに腰掛ける。
またもやあおいを挟んで座ると、昼食の美味しさで忘れていた緊張が少し出てきた。

手足を伸ばしてリラックスする咲と、手鏡を見て髪の毛を整える未来。
改めて、二人の育ちの違いがよくわかるような気がした。


「…あ…あの…あおいさん…」

「ん?」


手鏡をポケットに入れた未来は、もじもじしながら、チラチラとあおいを見て顔を赤くする。


「その…か、和真様との生活はどうなのですか?お姉さまと一緒でも、プライベートの和真様はどのような方なのです!?それよりも!男女が暮らしていらっしゃるなんて、素敵で…!!」

「未来、落ち着きなよ。にわかファンまる出しじゃん」

「だってあの小鳥遊財閥の御曹司なのですよ!?それに式でも見たあの凛々しい姿…!それにあのキリリとした目に見つめられたら…私だったらもう…!」

「あ、はは…。えっと、和真さんは…優しいよ、すごく…」


春休みからの日々を思い返すと、和真と過ごした時間に感じた素直な感想を伝えた。
あおいの表情は嬉しさのような、はにかんだような、思わず口元を緩ませてしまう。

結婚式の出来事があって、さらに水族館での初めてのお出かけ、そして毎日の中にある和真との時間は、本当にそう感じていたのだ。
きっと、和真なりにあたたかく見守ってくれているのだろう、不器用ながらも。

あったかい気持ちになるあおいは、そっと目を閉じた。


するとそこへ、走って向かってくる男子生徒の姿があった。
咲が早くに気づくと、二人に教える。


「…こっち来てるよね」

「え?」

「はぁっ、はぁっ…っ、やっと、見つけた…!!」


三人の前で立ち止まると、よほど走り込んでいたのか、膝に手を置いて顔を下に向けて息を整えていた。
あおいはポケットからハンカチを取り出すと、男子生徒へ差し出した。


「大丈夫、ですか…?」

「へい、き…!それより…はぁっ。はぁーっ……あおいだよな!海崎あおい!」


顔を上げた男子生徒は、にかッと笑うと、あおいが差し出したハンカチを取った。



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