義兄と結婚生活を始めます
構わず三森が後部座席のドアを開けると、奥の方にあおいが座っていた。
そろっと顔を出すあおいは、緊張気味に和真を迎える。
「あの…」
「あおいさん、少しいいですか?こちら、大学時代からの涼介です」
「友人はつけようね…和真よ。初めましてあおいちゃん。話はいつも聞いてるよ、遠野涼介です」
車から降りようとしたあおいだが、和真に止められたため、降りるのをやめた。
「初めまして、た、小鳥遊あおいです…!」
「あ、事情は和真から聞いてるから、大丈夫だよ。和真のことよろしくね。いつでも相談に乗るから連絡先」
「ダメです。本来、あおいさんは義妹なんですから…いい加減にしないと怒りますよ。」
「ご、ごめんごめん!いやぁ、今日はあおいちゃん見れてよかったよ!んじゃ!」
静かに言い放つ和真の眼はいつになく冷たかった。
何かを察したように、その場から去っていく涼介だったが、どこか嬉しそうな興味があるような、にやにやとした表情を見せる。
それから車に乗り込んだ和真は、ため息をついてあおいに謝った。
「涼介がすみません。明日、きちんと注意しておくので」
「いえ…その、意外でした。事情を知っている方が小鳥遊さん以外にいるのが…仲が良いんですね」
「……仲が…良い…?」
あおいの言葉を復唱すると、和真は大学時代から今までの涼介との関りを思い返したが、疑問がさらに深まった。
しかし、これ以上考えることは無駄だと思い、これからの予定を伝える。
「今夜は、外食しましょう。三森さん、行き先は」
「え!?」
「…明望の初日の授業は大変だったでしょうから……」
ふと、あおいの足元に、何か荷物らしきものがあることに気づく。
不思議そうにあおいを見ると、縮こまるあおいは小さく答えた。
「ゆ…夕飯の食材を…その…すみません…」
「……三森さん、このまま自宅までお願いします」
「かしこまりました」
にこりと笑った三森は、ハンドルを切って、二人の家のルートを走った。