イケメン御曹司は恋に不慣れ

そこに誰かの近づいてくる足音が聞こえてきた。
「川越さん、こっちはもういいからキッチンの方のお手伝いお願いします」
「は、はい」
まずいオーナーだ。
見られていたとわかり、全身から嫌な汗が吹き出てきた。
前に立っていた男性に軽く会釈をしてその場を離れた。

「うちのスタッフが何かありましたでしょうか」
と、先ほどの男性に応対するオーナーの低い声が背中から聞こえた。
私は後でオーナーに何を言われるのだろうと考えると恐ろしくなったが、とりあえず言われた通りキッチンへ向かった。

「すみません。こちらを手伝うように言われてきました。何をすればいいですか?」
「えっ? 何って…まだ片付けには早いし特にないけど」
キッチンからの答えに疑問符が浮かぶ。
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