イケメン御曹司は恋に不慣れ

「俺が言うのもなんだが、女を大切にしてこなかったツケだな。だから本命への接し方がわからないんだろう」
「そうだよ。でも、今さら過去は変えられないじゃないか。さっきだって、彼氏がいるのか探りを入れて、いないってわかったから俺の彼女になればいい、って言ったのに…」
「へえぇ、お前、いちおう告白してたのか。それで、彼女はなんて?」

「滅相もないってさ。そう言われたよ」
「楽しそうだな」
「ぜんぜん、楽しくなんかないね。もう、どうしたらいいんだか…」
「お前が本気になった子ならさ、そのうち浩介のこと理解してくれるんじゃないかな。いい子なんだろう」
「ああ、いい子だな」
「俺たちに紹介できる日が来るのを楽しみにしてるよ。頑張れよ」

友人からの冷やかしと励ましでその日は終わった。
明日から別の仕事があるため、数日はルーチェには行かない。
数時間前に見た彼女の笑顔を思い出しては、すぐに会いたくなっていた。
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