イケメン御曹司は恋に不慣れ

「でも、どうして浩介さんがそんなこと知ってるんですか?」
「ひまりは自分が勤めていた会社の役員を知らないのか?」
「えっ、役員って…」
平社員だった私は社長や専務、常務といった人の名前は知っていてもその他の役員の名前までは知らなかった。

「じゃあ、社長の名前は知ってる?」
「知ってます。佐伯社長です。ええ!? 浩介さんが社長だったんですか?」
「いや、社長は俺の叔父だ。俺は執行役員」
「それにしたって驚きです」
「本当に無事でよかった。店に戻るか。今日も車で送ってやるよ」
「はい」
差し出された手を取り、来た道を二人で戻っていった。
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