イケメン御曹司は恋に不慣れ

決着のあと


帰りの車の中で浩介さんから寄り道していいかと聞かれ、連れて来られたのは夜景のホテルのレストランだった。

「無事に解決できたお祝いだ。それとひまりに伝えたいことがあってさ」
「あ、解決…したんですよね。やっと実感してきた感じです。どうもありがとうございました」
「それで解決できたから、もう言っても平気かな、って思ってるんだけど…」
「何なんですか? いつもズバズバ言う浩介さんらしくないですよ」
浩介さんと一緒だからか久しぶりに心から笑えてる、そんな気がしていた。

「いい笑顔だな」
そんなことを言う浩介さんが窓の外に見える夜景よりも美しく感じられ、ドキッとする。
テーブルの上に置いていた私の手に浩介さんが触れてきた。
「俺が触れても怖くない?」
そんなことを聞かれて目を見開いた。
「はじめの頃の浩介さんは怖かったですけど、もう怖くないですよ」

「そうか…よかった。ひまり…」
「はい」

「好きだ」
触れるだけだった手が指先を掴む。
ストレートな一言に私の頭は真っ白になった。
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