人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜
こんなにも悲しむ人がいるのに、

簡単に人の命は終わってしまう。



大切な人が亡くなったら、

普通は涙が流れるのに。



どうして上手く悲しめないの?



我慢してる訳でもないし、

強がってる訳でもないのに、

航兄ちゃんの死を否定してしまう。



母さんが葬儀に来てくださった人から、お悔やみの言葉を告げられる度に、泣いている姿を見ても。



琴美姉ちゃんが脱力しきった顔で、壁に寄りかかる姿を見ても。



僕の目から涙は溢れなかった。



死ぬってなんだろう?



人の死を初めて目の当たりした僕にとって、理解するのに時間がかかった。



それに、二日も寝れない日々が続いたせいか、精神的ショックなものなのかは分からないが、原因不明の腹痛が僕に襲いくることを僕は、この時まだ知らない。



身体は目に見えぬ形で刻々と、

蝕まれていたのだ。



目の下をクマだらけにした母さんは『10歳は歳をとった』なんて嘆いているのを最後に、僕は気分転換、外の空気を吸いに出ようとした時だった。
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