【お手紙お返事ぺーパー】8度目の人生、嫌われていたはずの王太子殿下の溺愛ルートにはまりました。小話
 リーフェがルーデンブルグの湖へと向かおうとすると、アイラが前に立ちはだかった。

「私も行きたい! リーフェ」
『えー。でもすぐ帰って来るし。別に楽しいことはないよ?』
「楽しいか楽しくないかは私が決めることでしょ? それに、みんなで行ったらなにもなくても楽しいよ」
『みんなって?』
「もちろん、ドルフとオリバーよ!」

 リーフェの返事を聞く前に、アイラは部屋を飛び出し、ドルフとオリバーを引きずって戻ってきた。

「リーフェ、何事?」

 困惑した様子のオリバーに、リーフェはちょっと憤慨した様子を見せる。

『私じゃないよ。オリバー。アイラが勝手に連れてきたんだよ』
「何がしたいの? アイラ」
『どうせくだらないことだろう』

 オリバーとドルフから冷たい目を向けられても、アイラは負けない。仁王立ちして自らの主張を訴える。

「たまにはいいじゃない。みんなで、リーフェの里帰りについて行こうよって言っているの!」
『夜だし、景色もよく見えないよ?』
「いいの。行きたいんだから、ねっ、オリバー!」

 特に行きたいとは思っていなかったオリバーも、まあ夜の散歩だと思えばと頷き、ドルフも『まあいい、付き合ってやる』と頷いた。

『べつにひとりでもいいんだけどなぁ』

 当のリーフェだけが面倒そうな声を出しつつ、背中をアイラに向けた。
 リーフェはそもそも人を背中に乗せるのがあまり好きではない。重くなるからいつものスピードが出ないし、落としたらと考えると怖いから。

「やった。さあ行きましょう?」

 なぜかノリノリのアイラは、かばんを肩から斜めがけして、リーフェの背中にしがみついた。ドルフはいつものようにオリバーを乗せ、聖獣たちは高く飛び立つ。

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