愛しい師よ、あなただけは私がこの手で殺めなければー大賢者と女剣士の果しあいー

 初撃で奪れなかった。

 ここからはゼウラと戦闘になる。いつもは逃げられてしまうけれど、今日は立地がよかったか、彼に逃げる様子はない。まだ戦える。そしてその内に、彼が逃走する前に、殺す。

 離れて隙をうかがいあい、牽制でにじにじと四半分の円を描いた頃、ゼウラが踏み込んできた。
 後ろから大きく剣を振り、素早く回転を取り入れ一撃、それをシャンガが受け流せば、くるりとそのまま回ってもう一撃。

 二撃目を受けるのが遅れて、頬に剣先がかすり髪も毛先を削がれた。
 ドクドクと、速まる動悸と連動し、頬が疼く。
 流れる血と汗を上げた二の腕で拭うも、構えた剣と目線は逸らさない。

 ゼウラは魔法を使う際、杖代わりに剣を使用する賢者だ。
 持っている以上剣も嗜み、シャンガに初歩を手解きしてくれた。成長によって剣の腕では師を追い越したと自信があったのに。

 老いる師に勝っていただけだった。
 今のゼウラ、……出身村で逃げた頃からか。身体能力を補ったゼウラは剣でシャンガを上回るかもしれない。

 なんとか立てている体勢で、襲いくる剣撃を受けた。ジャリンッと剣が滑り、火種が散る。 
 渾身の力で跳ね返し、ゼウラを後ろに押した。しかし彼はなおも剣を振るってくるので、数打、互いに剣を打ち合った。
 全然、押していけない。
 剣だけでこうとは、彼は魔法を使うのに。今のところシャンガと剣を合わせるだけで済ませているからなんとかなっている。

ドン。

 割り込むように響いた砲撃の音と振動に、ゼウラの体が傾き隙が生まれる。
 下にいる兵団からの援護だ。
 シャンガは跳躍しいっぱいの力を縦に斬る力に込める。
が、これをゼウラは横に構えた剣で受けてしまった。
 力の方向を斜めにずらされ、シャンガの剣が落ち、回りながら鋸壁のすぐ下までいった。
 剣が手を離れた動揺を耐え、シャンガもゼウラの剣を蹴り上げる。

 飛ばされた剣はこれまた反対の壁近くに転がった。
 獲物をとりにいくのを防ぐため、互いに腰をつかんで妨害しぐるりと大回り。
 押し、あるいは引き、互いの行動を阻み合い、もつれこみ、壁にぶつかって弾けるように互いに距離をとった。
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