不器用な神野くんの一途な溺愛
『斗真』
途端に思い出しちまう。小野宮に名前を呼ばれたことも、小野宮のこの唇にキスをしたことも。
「悪ぃな、小野宮」
お前の知らねぇとこで、もう一回キスするからな。
ちゃんと飲めよ――
パキッ
フィルムから薬を出して、小野宮の口に入れる。コップに入った水は俺が口に含み、間髪入れずに小野宮の口へ流し込んだ。
「ック、ックン、ックン.......」
「.......はっ」
何とか飲んでくれたな。にしても、やっぱすげー熱だ。唇も口の中も、熱すぎんだろ。
「あ」
無事に薬を飲んだらしい小野宮の口から、飲み込めきれなかった水が、今にも垂れそうになっている。
その水をキスで受け止めた時、小野宮はくすぐったかったのか、情けない顔でふにゃっと笑った。
試しに頭を撫でると、手に頭をグリグリ擦り付けてくる。なんだコイツ、猫みてぇ。