不器用な神野くんの一途な溺愛
「じゃあご両親に電話して、あ、不在ならまた会社かしら。

“ 小野宮さんは家に帰る事になりました”って伝えてくるから、神野くんはここで待っててくれる?」

「おー」

「ついでに小野宮さんの荷物と、小野宮さん家までの地図もコピーしてくるから、神野くん、ここ宜しくね!」


大声で全ての連絡事項を告げた後、先生は居なくなる。嵐みてぇな奴だな.......。

小野宮に静かに近づくと、一連の騒動では起きなかったのか、まだ寝ている。


「あ、薬ここにあんのか」


ベッドの横に置いてある、小さな棚を見る。

そこには水の入ったコップと薬が、お行儀よく並んで置かれていた。


「.......仕方ねーな」


冗談で言ったつもりだったよ。「口移しで薬を飲ませてやる」なんて。

でも仕方ないだろ。

咳き込んだり苦しそうな顔で寝られると、助けてやりたくなんだろ――


少しの背徳感に言い聞かせるように、小野宮の頭を、角度をつけて持ち上げる。

そして俺の指で、小野宮の口を少しだけ開けた。その時、熱で血色の良くなった小野宮の唇をなぞる。
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