不器用な神野くんの一途な溺愛
「 (それに気づかない私って……) 」


どれだけ走るのに夢中だったんだろう。

今更だけど、恥ずかしくなって来た……。


けれど――

勝手に赤面する私を、またもやスルーした神野くん。


「で、本題だけど」


希春先輩の話はそっちのけで、神野くんは、私へと体を向けた。


え……な、なに?
何が始まるの……?


身構える私に、神野くんがため息をつく。


「お前さ」


そして、始まる。

私が地獄に落とされる時間が――


「何もしゃべらねーんなら帰れば?

あんた、ここにいる意味ねーし」

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