不器用な神野くんの一途な溺愛
「浸ってるとこ悪ぃんだけど」

「 (ビクッ!) 」


条件反射のように、体が反応してしまう。肩が勢いよく跳ねたのを、きっと神野くんも気づいてる。

でも、


「これ、お前のだろ?」


何事も無かったかのように、私にスッと「ある物」を差し出した。

それは――


「 (あれ⁉ 私の筆箱だ! なんで……⁉) 」


私、教室を出る時に、確かに筆箱を持って出たはず……。

なのに、なんで神野くんが……?


不思議そうな顔をした私をスルーして「廊下に落ちてたぞ」と。神野くんが、机上に筆箱を置いてくれる。


「ろ、か……?」

「お前、走って出てったろ。そん時に落ちたんじゃねーの?」

「 (あぁ……、あの時の!) 」


無駄に全力疾走した、あの時だ……。

頑張って手も振ってたから、その時に筆箱がすっぽ抜けちゃったんだ……!
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