不器用な神野くんの一途な溺愛
『それでだな、神野くん!』


まだ興奮状態にある教頭が、電話口に戻ってきた。


『重ね重ね申し訳ないんだが、原稿をだな、用意してもらわんといかんのだ』

『は? 原稿?』

『挨拶の原稿だよ。代々、学校が用意するのではなく、新入生に自ら考えてもらってきてるんだよ』

『はぁ……?』


そんなの、簡単だろ。


『首席が今日まで出るつもりだったんなら、首席が考えた原稿があんだろ。それを渡してもらえりゃ、』

『(言葉遣い‼)』

『……それを渡してもらえると、有難いんですが』


いつの間にか俺の前に戻ってきていた母親に、鬼の形相で注意される。

いや、怒りたいのは俺だっつーの……。


けど、


『それが……』


と教頭は、またもや言葉を濁す。


『す、捨てたらしいんだ。原稿』

『……は?』


今、なんつった?

す、
< 37 / 425 >

この作品をシェア

pagetop