不器用な神野くんの一途な溺愛
「そ、そーかよっ……っ」

「?」


くそ、失敗した。やっぱり聞くんじゃなかった。

俺の中で小野宮の存在が嫌でも大きくなったのが分かる。笑った顔、目を輝かせた顔――それらが脳内で、交互に再生されていた。


「(こいつは、ついさっき俺が“ キライ”と確信したヤツだぞ。なのに、おかしいだろ)」


気になるなんて変だろ。小野宮からは嫌われてんだぞ。なのに、なんでだよ。

自分で自分が分からなくなって頭を抱える。やっぱりあの時、副委員長に毒されたな。くそ、副委員長め。


「か、の、くん」

「あ?」


まだ遠慮がちに笑う小野宮が、俺を呼ぶ。そしてカバンから2つの飴を出してきた。

嬉しそうに、その一つを俺に渡してくる。差し出された手は震えていた。やっぱり俺が怖いのか?


いや――半分は合ってて、半分は違うか。副委員長の言葉が、頭をかすめる。
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