兵士となった幼馴染の夫を待つ機織りの妻
 女中の声にびくりと反応した清隆は、大きな声で「わかった」と返事をする。女中は若い夫婦の情事を嗅ぎ取ったのか、そのまま部屋に入ることなく去っていった。

 裸で抱き合いながら、二人は目を合わせた。自然に笑いが込み上げてくる。

「あなた。そろそろ行きましょうか」
「そうだな」

 顔を赤らめた雪乃は浴衣を引き寄せ袖に腕を通す。帯を締め乱れた髪を整えると、清隆に近づいた。

「さぁ参りましょう」
「ああ」

 同じように浴衣を着直した清隆は、雪乃の腰に手を回すと上機嫌となって手拭を首にかける。新婚の時以上に甘い雰囲気を醸し出した二人は、互いを見つめ微笑み合う。

 その夜、風呂上りの上気した雪乃の肌に赤く散らばる所有印をつけた清隆は、翌朝すっきりとした顔をして颯爽と馬に跨った。腰をさする雪乃の世話を甲斐甲斐しくすると、都までゆっくりと進んでいく。

 三年間の空白を埋めるように語り合った二人は、都に着くと早速機織り機を探したという。

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