この結婚が間違っているとわかってる
伊織の意味深な発言の真実を小花が知ったのはその三日後だった。
「ごちそうさまでした。美味しかった~」
仕事終わりの小花は珍しく伊織と一緒に食事に出掛けた。回らないお寿司をご馳走してもらったのだ。
伊織と一緒に行く予定だった女性が急きょ来られなくなり、予約をキャンセルするのも悪いからと代わりに小花が同行することになった。
「お前食い過ぎ。腹壊すなよ」
「だってお寿司久しぶりに食べたから。ウニ美味しかったなあ。また連れてって」
「やだ」
小花のお願いをばっさりと拒否した伊織が歩き出す。そんな彼を追い掛けようとした小花だけど、見知った女性の姿が見えて足を止めた。
(……咲さん?)
人混みの中をミディアムボブヘアーの小柄な女性が歩いている。その隣にはスーツを着た男性がいて、どう見てもその人は咲の夫である拓海ではない。
「腕組んでる……」
咲が一緒に歩く男性に甘えるように寄り添っている。すると男性の手が伸びて咲の頭を優しく撫でた。
うっすらと頬を染めた咲がうれしそうに微笑む。あれはどう見ても……。