この結婚が間違っているとわかってる
「そういえば咲さん帰ってきたのかな」
食後のコーヒーを飲みながらリビングでまったりしていた小花はふと思い出した。拓海から聞いた咲の帰りはたしか今日だ。
ソファに座ってテレビを見ている伊織からは返事がない。小花は、そのまま独り言のように続ける。
「いいなぁ、友達と旅行。私も美波とどこか行きたいな」
「友達ねぇ……」
どこか意味ありげに呟いた伊織は、おもむろにソファから立ち上がるとリモコンを手に取ってテレビを消した。
「それが本当だといいけどな」
「どういう意味?」
「いや、なんでも。風呂入ってくる」
小花の横を通りすぎて伊織がリビングを出ていった。ひとり残された小花は先ほどの伊織の言葉が気になってしまう。
さらに詳しく聞くため浴室に突撃しようか。いや、そんなことをしたら怒られる。
気になったけど、まぁいいかと深く考えることをやめた。