馨子ーkaorukoー



2ヶ月後。


ふたりは空港にいた。

「馨子は飛行機に乗るのも初めてだったな。空から見る大陸は綺麗だぞ」

「…そうなんですね」

馨子は薄く笑った。

西園寺がカミングアウトしてから馨子はすっかり元気がなくなってしまった。

当たり前だと、西園寺の胸中も複雑だったが、それでも今日の馨子の顔には久しぶりにチラチラと笑顔が見えた。

それが西園寺にとっては何よりの救いだった。

搭乗時間までふたりは他愛のない話で盛り上がった。

すると西園寺が、喋りすぎたせいか喉が渇いたと言ってきた。

「じゃあわたし、なにか飲み物買ってきますね」

ニコリと笑い馨子は席を立った。

その後ろ姿を西園寺はぼんやりと見つめていた。

…馨子は自分が居なくなった後、誰か他の男のものになるのだろうか。

私の、私だけの馨子だ。

誰にも、渡せない。

「おじ様…」

いつの間にか飲み物を手に持った馨子が西園寺の前に立っていた。

「馨子、私は…」

「おじ様、わたしも同じ気持ちですわ…」

「っっ、」

「どこまでも、一緒にゆきましょう」





永遠に、離れないーーーーー。






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